麦茶ポット、毎回洗ってる?「洗わず次の麦茶作ってる」「水でゆすぐだけ」菌の繁殖は…専門家に聞いた

金井 かおる 金井 かおる

 「会社の給湯室で、麦茶ポットを洗わずに次の麦茶作ってる人いるんだけど」。SNS上にこんな投稿がありました。水出し麦茶を作る際、ポットを洗剤で洗うことなく、そのまま使いまわしているというもの。冷蔵庫に保管するとはいえ、不衛生では。専門家に聞きました。

洗わずに続けると「菌が繁殖する恐れが」

 福岡県にあるエフコープ生活協同組合の商品検査センター「りんご館」。同センターで商品の微生物や遺伝子の検査などを行う担当者に聞きました。

──水出し麦茶を作る際、麦茶ポットをそのまま使い回したり、水洗いだけで使い続ける人がいるようです。

 「洗わずに使い続けると、ポットに付着した菌が麦茶の保管中に繁殖する恐れがあります」

──麦茶ポットの正しい洗い方は。

 「衛生的に管理されていない食器用スポンジには菌が付着している可能性があるため、食器用洗剤だけで容器に付着している菌を完全に除去できない可能性があります。繰り返し使う容器(本体、フタ、パッキン)は、麦茶を入れる前に熱湯やキッチン漂白剤などでしっかり除菌することをおすすめします」

     ◇

 ネット上には冒頭の投稿以外にも似たような声が多数あります。「実家の母は麦茶がなくなったらポットを洗剤で洗わずにそのまま次の作ってる」「ズボラだから麦茶ポット洗わないまま補充する」「水道水でさーっとゆすぐだけ」「麦茶ポットのパッキン洗うの面倒」など。洗剤で洗うだけでなく、熱湯などでしっかり除菌することも必要だと分かった今、使い回ししていた人はご注意を。

水出し、煮出し、常温…菌の量は?

 同センターでは、家庭で作る麦茶の衛生的な管理方法についても調べています。

 麦茶を3つの方法で作って保管し、8日間の菌の量の推移を調査。「容器は麦茶の作成・保管を複数回繰り返し、新しく麦茶を作るたびに、食器用スポンジと食器用洗剤で洗浄したものを使用しました」(同センター)。結果は次の通りです。

 (1)水出し・冷蔵庫保管は、「0日目から多くの菌が確認されたが、これは複数回麦茶の作成・保管を繰り返した容器に残っていた菌が由来ではないかと考えられる。その後冷蔵庫で保管したことで、菌が増殖することはなかった」。

 (2)煮出し・急冷・冷蔵庫保管は、「ほとんど菌の増殖は確認できなかった。煮出しした麦茶を容器に移した際に、ほとんどの菌が死滅したと考えられる。粗熱を取って冷蔵庫で保管したことで、その後も増殖しなかったと考えられる」。

 (3)煮出し・常温保管では、「麦茶作成翌日には菌が大幅に増殖した。やかんでの保管は密閉できないことで、外部から菌が侵入したと考えられる。また、真夏の過酷な条件下で菌が大幅に増殖したと考えられる」。

 同センターでは、「自家製麦茶は冷蔵庫で保管することで、菌の増殖を大幅に遅らせることができます」とし、「清潔な密閉容器を使うことで、菌の侵入を防ぐことができます。さらに衛生的に麦茶を作るなら、菌が増殖しやすい温度(30~40℃)になる時間を短くするために、氷水などで急冷すると良いでしょう」とアドバイスしました。

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