首長・地方議員選挙などで躍進を続け、存在感を増す大阪維新の会。一方で「関西のテレビ局が権力を監視するメディアとしての役割を果たせていない」というX(旧Twitter)の投稿に対して関西テレビのアナウンサーが反論し、逆に批判を浴びてツイートを全削除するという“騒動”があった。
新型コロナ禍で、大阪府知事の吉村洋文副代表(当時)らが関西民放などでテレビ出演する回数が急増。2020年の公務日程を見ると、1カ月で計30番組に出演している月もあった。翌年1月の元日に毎日放送(TBS系列)で放送された関西ローカルのバラエティー番組「東野&吉田のほっとけない人」では、吉村氏のほか大阪市長の松井一郎代表(当時)、元代表の橋下徹氏の3人が揃って出演。後日、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会が「政治的公平性を損なう恐れがある」などとして各放送局に注意を促す事態となった。
以前から在阪民放の報道姿勢に疑問を呈していた歴史学者の住友陽文氏(大阪公立大学教授)は今年6月下旬、「維新もおかしいが、関西の民放テレビは狂ってる」と投稿した。
これに反応したのは、関西テレビ(フジテレビ系列)の新実彰平アナウンサー。「"関西の民放テレビ"との一括りはヘイトそのもの。私はかつて、コロナ下で医療崩壊阻止をゴールとする吉村知事に『医療崩壊を阻止しても死者は出る。許容するということか?』と問うている。(中略)この問いへの答えが有権者の判断材料そのものだからだ」などと反論。「無論、無思慮な番組の存在も否めない。しかし、一括りにしての批判は許容できぬ」と、憤りを露わにした。
これに対し他のユーザーから「(新実アナ個人は)きちんと対応されていたと存じますが、総合的に見て民放には違和感を感じます」「数回多少厳しい質問をしても、政党の代表をテレビに出し続けて発言と顔出しの機会を与え続けていてはバランスが取れない」など、さまざまな声が上がった。
その後、新実アナは一連の投稿を含め全ツイートを削除。7月13日に「文字数の制約と私自身の拙さで、むしろ逆の結果を招いたり、私という人格が実態と乖離して伝わったりするばかりでした 反省と共に出直します(顔文字)」などとした。ファンらからの励ましの声があった一方、「1人の意見をヘイトだと断罪した上に、ツイートを全削除して経緯を分からなくするのは不誠実では」という意見もあった。
この件について、まいどなニュース編集部が関西テレビに見解などを尋ねたところ「社員が個人のアカウントで行うツイートは、個人の責任において発信しているものであり、それに関する事案については、社としてのコメントは控えます」「当社はSNS利用について、社員に対して研修などを通じ、適宜指導を行っております」と返答があった。