ケージに閉じ込められた繁殖場のトイプードル 5回のシャンプーでとれた悪臭 散歩、ドッグラン…できることが増えてきた!

松田 義人 松田 義人

福岡県を拠点に行き場を失ったワンコの保護活動を行うボランティアチーム・わんにゃんレスキューはぴねす(以下、はぴねす)。同チームが10年通い詰め、介入した繁殖場がありました。ワンコ自身が望まない繁殖を繰り返すことをヤメさせる目的と、そこにいるワンコたちの命を救い出す目的がありました。

その繁殖場にはかつて150頭以上ものワンコがおり、到底1頭1頭に適切なケアやサポートを行えているようには見えませんでした。のちにはぴねすや他のボランティアチームの働きかけにより、この繁殖場は廃業宣言をしましたが、現場にはまだワンコが残されていました。

2023年5月、はぴねすや他のボランティアチームのキャパが空いたこともあり、あらためてこの繁殖場に行き、1頭のトイプードルを保護することにしました。

かわいくてお利口さん…でも強烈な悪臭

その名はミカンさん。約3歳ほどのメスで、クリッとした目がかわいいワンコです。カットもされていて毛玉はなく、人間のことも大好きな様子。人懐っこいワンコでしたが、一つだけ難点がありました。

それは悪臭でした。とにかく臭く、繁殖場でのズサンなケアを示していました。そのため、はぴねすのスタッフは帰宅してすぐ、ミカンさんをお風呂に入れてあげることにしました。

ミカンさんはシャンプーやドライヤーに少し怯えながらも暴れることはなくしていました。「さすがミカンさん、やっぱりお利口さんなんだね!」とスタッフはほめましたが、やっぱり臭います。5回洗ってやっと悪臭が消えました。

慣れないリードを嫌がりジャンプ

ミカンさんは人懐っこい一方、ずっとケージに入れられて育ったせいか、しっかりとした人馴れトレーニングなどはできておりません。

また、満足に体を動かせてもらう機会もなかったようで、保護した直後、ミカンさんを散歩に連れていこうとすると、首輪、ハーネス、リードに慣れず引っ張られると、ミカンさんはウナギのように体をくねらせ、飛び上がりハーネスからすり抜けようとしていました。

スタッフはミカンさんのペースを最優先にしながら、慎重に人馴れや散歩のトレーニングを実施しました。ミカンさんは少しずつうまく散歩できるようになり、次第にあちこちの匂いを嗅ぐ余裕が出てきて、リードと引っ張るスタッフとのアイコンタクトもしてくれるようになりました。そして、自ら「連れていって!」とねだることもあるほど散歩が大好きになりました。

他のワンコよりも人間と一緒にいることが大好き

最近ではドッグランデビューも果たしました。ドッグランに連れていった最初は、ただただ尻尾が下げて固まるだけのミカンさんでしたが、その1時間後には、ビビリを忘れて元気に走り回っていました。こんなエピソードから、ミカンさんは順応能力も高いワンコだとスタッフは思いました。

ミカンさんは他のワンコと一緒に遊んだり、走り回ったりすることはさほど興味を持たず、それよりも人間のそばにいることを望みます。スタッフの家では自らジャンプしてベッドに飛び乗り、そのまま一緒に寝てしまうこともあるほど。迎え入れてくれる里親希望者さんは「徹底的に甘えさせてくれる人が望ましい」とのことです。

ミカンさんはスタッフの元でピッタリの里親さんとの出会いを待ちながら、日々成長を続けています。興味がある方ははぴねすに問い合わせをしてみてください。

ミカンさんがいた繁殖場にはまだ11頭のワンコがいる

はぴねすが行き場を失った犬を保護する際、最優先にしているのは、動物愛護センターに収容されているワンコたちです。なぜなら、動物愛護センターにいるワンコたちは、「命の期限」があり、保護が遅れると殺処分対象になることもあるからです。繁殖場への介入や保護も並行して行っていき、廃業も促していきたい考えです。

ミカンさんがいた繁殖場には一時150頭ものワンコが暮らしていました。しかし、今では残り11頭になりました。近い将来、この11頭のワンコたちを救い出し、繁殖場が完全に閉鎖となることを目指していきたいとスタッフは語ってくれました。

行き場を失ったり、劣悪な環境にいるワンコたちの命を救いだし第2の犬生へとつなげていくはぴねす。その有意義な活動にこれからもぜひご注目ください。

わんにゃんレスキューはぴねす
http://happines-rescue.com/

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