北海道の西北部にある留萌。日本海側から吹き荒れる北風が激しく、特に冬場は厳しい寒気に包まれることで知られるエリアです。
この留萌のとある家庭で多頭飼育崩壊が起こりました。この家庭の親族が、状況を危惧して地元の留萌振興局に相談。これを受けた留萌振興局は、北海道の保護犬団体と協力し合い事態の収束をはかることになりました。
初めて名付けられた「テオ」という名前
ここで留萌振興局から要請を受けたのが、北海道を拠点に多くの犬猫の保護活動を行う認定特定非営利活動法人HOKKAIDOしっぽの会(以下、しっぽの会)。スタッフは現場に向かい、オスのワンコをレスキューしました。体重は16キロ超えというドッシリとした存在感のある中型犬です。
聞けばこのワンコ、推定3〜5歳ということですが、元飼い主から名前などは与えられなかったと言います。このことからも元いた環境のズサンさ、飼い主の愛情の乏しさがうかがえますが、スタッフはこのワンコに生まれて初めて「テオ」という名前をつけてあげました。
テオは保護直後からスタッフに心を開いた
通常、多頭飼育崩壊だけでなく、さまざまな状況からワンコの保護を行う場合、当のワンコは警戒心や不信感などから、初めて見る人間にはなつかないことが多いものです。
しかし、テオは違いました。しっぽの会の保護直後から全く人見知りをせず、なでてあげれば喜ぶような人なつっこいワンコでした。きっと長い間、愛情に飢えていたのでしょう。多頭飼育崩壊の現場で充分な愛情も、名前すらも与えられず育ってきた、これまでのテオの犬生を想うと胸が痛みます。しっぽの会スタッフに「テオ」と名付けられてからは、その名を呼ばれることも気にいってくれたようで、テオは笑顔を見せながら応えてくれるようにもなりました。
散策中は名前を呼ばれても無視するマイペースぶり
人が大好きで、名前を呼ばれることも大好きなテオですが、唯一その名を呼ばれても知らんぷりをする瞬間があります。
それは外で過ごしているとき。もともと外飼いだったこともあり、テオは外にいることがとにかく大好きです。気の向くままにあっちにフラフラ、こっちをクンクン散策し続けます。あまりに長くフラフラし続けるため、スタッフが「テオ帰るよ!」と名前を呼んでも聞こえないフリを決め込みます。「しょうがないなぁ(笑)」と笑うスタッフですが、そんなマイペースなところもテオの魅力です。
「テオを迎え入れたい」という里親希望者さんが現れた
そんな愛くるしい性格のテオですが、「迎え入れたい」という優しい里親希望者さんが現れ、見事幸せをつかむことになりました。
かつての苦しい生活にもめげず、持ち前の穏やかな性格で乗り越えてきたテオ。本当の幸せをつかんだことにスタッフは胸をなでおろしました。そして、テオの好例を胸に、今後もより多くのワンコの命を救い、新たな犬生へとつないでいく希望を、改めて胸に抱きました。
認定特定非営利活動法人HOKKAIDOしっぽの会
https://shippo.or.jp/#gsc.tab=0