どんな気持ちで捨てるか
現金被害以上にこたえたのが、独立開業以来、守ってきたスープを捨てざるを得なくなったことでした。
「何者かが無人の店内に侵入した以上、万が一のことがあってはいけない。家系ラーメンのスープは毎日つぎ足し、1年2カ月守ってきたものですが、廃棄せざるを得ませんでした」
窃盗犯がスープに異物を入れた可能性を排除できないため、苦渋の決断を下しました。
店には犯人が履いていたと思われるサンダルが片一方残されていました。ずさんな犯行に「お前はこんなこと(窃盗)で幸せになれるのか」と感じたといいます。
店長はTwitterには「スープ怖いので全て捨てます」と投稿し、「武道家本店からいただいたタネスープから作ってんだぞ。このスープが千葉に来るまで武道家本店でいろんな人が真剣に自分の仕事と向き合ってできたスープだぞ。物は金で買えても職人の情熱や気持ちは買えねーぞ」「これを俺がどんな気持ちで捨てるか考えろや」と犯人に投げかけました。
周囲に励まされ、再開
窃盗被害に遭った28日の午後には、のれん分けしてもらった武道家本店(東京都新宿区)や兄弟店からスープを再び分けてもらい、仕込みを再開しました。翌29日まで煮込み続け、営業時間を遅らせて午後2時から営業を始めました。
「本店からスープをいただいたこともそうですが、周りの飲食店やお客さんが栄養ドリンクやジュース、そぼろ丼を差し入れてくれたり、『頑張ってください』と励ましてくれました」
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周囲の支えもあって、横浜家系ラーメン武道家 心のとろみの強いスープは復活しました。「濃いスープは海苔とラーメンとご飯と合わせて食べてもらえたら。家系でもマニア受けのほうかもしれません」と店長は言います。新しい券売機が届く8月初旬までは手売りで対応するといいます。