定期的に値上げのニュースを見るようになり、ため息をついてしまう人が多いのではないでしょうか。とくに子育て中の世帯は、子供の成長とともに出費が嵩みますよね。家計管理方法は各家庭によって違いますが、夫から渡される「定額の生活費」でやりくりしていると、日々の値上げをヒシヒシと実感するようです。
夫から定額で生活費をもらっているが…
A子さん(埼玉県在住、30代、パート)は、結婚当初から夫に生活費として12万円渡されていました。なお、住居費や保険料は別です。結婚当初は夫と2人暮らしなので、12万円の生活費は充分すぎるほど。「余ったら好きに使っていいよ」と言われていたので、雑誌を買ったり友達と出かけたりなどに使っていました。
現在結婚11年目。A子さんは2児の母になりました。子どもは8歳の息子と5歳の娘で、日に日に食べる量が増えています。子どもは成長するので服や靴も買い続けなければなりません。習い事や幼稚園代などの教育費もかかります。正直12万円の生活費では全く足りません。
10年経っても夫から貰う生活費が変わらない
生活費が足りない理由は子どもの成長だけではありません。ここ数年食費や光熱費の値上がりラッシュで、節約にも限界があります。2019年に10%に上がった消費税も負担で家計は大ダメージです。
夫の年収は徐々に上がってはいるものの、社会保険料や税金などの値上がりで、手取りに大きく反映されません。夫に生活費の値上げを交渉しましたが「子どもの学費も貯金しなければならないから、なんとか頑張ってほしい」と言われてしまいました。夫も贅沢をしているわけではなく、お小遣いの範囲内で頑張ってくれています。
現在は仕方なくパートの収入で生活費を補う日々。息子の入学と娘の入園のタイミングでパートを始めたA子さん。最初は自分のお小遣いとして使っていましたが、今はほとんど生活費や教育費で使い切ってしまいます。
物価や光熱費が値上がりして苦しい…
スーパーでいつも買っているちくわが値上がりしているのを見て、A子さんは「またか…」とため息をついてしまいました。節約のために食料は安いスーパーまで車で行って買いだめしているのですが、同じスーパーを使い続けているからこそ物価の上昇を肌で実感します。
事実、総務省が発表したデータでは、2021年以降物価指数は上昇しています。2022年は2020年を100とした場合、総合で102.3となっており、前年比2.5%上がっていました。
実際に家計の出費はどうなっているのでしょうか。家計調査の総世帯支出を2021年と2022年で比較すると、以下のようになります。
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▽消費支出 2021年:235,120円 2022年:244,231円 2022前年比:103.9%
▽食料 2021年:62,531円 2022年:63,597円 2022前年比:101.7%
▽光熱・水道 2021年:17,939円 2022年:20,398円 2022前年比:113.7%
▽電気代 2021年:8,606円 2022年:10,559円 2022前年比:122.7%
▽ガス代 2021年:4,066円 2022年:4,547円 2022前年比:111.8%
▽他の光熱 2021年:976円 2022年:1,202円 2022前年比:123.2%
▽上下水道料 2021年:4,291円 2022年:4,091円 2022前年比:95.3%
参照:総務省統計局家計調査・総世帯より作成(https://www.e-stat.go.jp/statistics/00200561)
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2022年の消費支出は前年度比較で103.9%。注目すべきは光熱費で、特に電気代が増えていることがわかります。物価指数と比較し食費の上昇が101.7%に抑えられているのは、節約しやすいからと推測できるでしょう。
節約か?働くか?
ジワジワと生活に必要なものが値上がりし続けているのですから、同じ生活費では足りなくなるのは当然です。A子さんは節約か、それとももっと働くかの選択を迫られている気分になりました。
現在扶養内で働いているA子さん。扶養内を超えて働く覚悟がなかなかつきません。子どもたちは成長していますがまだまだ手がかかりますし、朝早く帰宅が遅い夫に家事や子どもに関わる物事を頼むのは物理的に無理でしょう。「娘が入学するまでは扶養内で、その後はそのときになったら考えよう。とりあえず節約あるのみ…」と、またため息をついてしまうA子さんでした。