島根県松江市にある松江商業高校で6月22日、1年ぶりに食堂が復活した。1985年に同校は現在の場所に移設され、食堂も同時期に設置された。食堂は40年近く、育ち盛りの高校生たちの胃袋を満たしてきたが、新型コロナウイルス禍や物価高騰、生徒数の減少を受け、運営事業者が昨年5月に撤退。学食の復活を生徒の要望が教職員を動かし、奔走の末に新たな運営事業者が決まった。「食堂復活」の一日に密着した。
4限の終わりを告げるチャイムが鳴ると、突如校内が騒々しくなった。食堂で待っていると、腹をすかせた生徒たちが早足で向かってきた。食券を握りしめた生徒たちが続々と列を作っていく。あっという間に30人以上の生徒が列をなした。食券は前売り券を休み時間に購入し並んでいる生徒や当日注文している生徒がいた。
厨房は一気に熱を帯びた。従業員5人は調理や配膳に忙しそうだ。様子を見守っていた坂根博行教頭も「こんなに生徒が押し寄せるなんて」と想定外の利用者数に驚きが隠せなかった。利用人数の多さは食堂に向ける期待の大きさを表していた。