自分に似合い、顔映りがよく見える色を知る「パーソナルカラー診断」。コスメや服選びの参考になると20、30代の女性を中心に浸透している。記者2人も気になって自分なりに調べたものの、実はあまり分かっていない。もやもやを晴らすべくそれぞれ岡山県内のサロンを訪ねた。
色布を当てて傾向探る→買い物の選択肢が増えそう
良田桃子記者(30)が診断を受けたのは「brand(ブラン) new(ニュー) day(デイ)」(倉敷市大内)。普段の雰囲気が分かるよう私服とナチュラルメークで臨み、パーソナルカラーアナリストの資格を持つ高渕智代さん(47)からマンツーマンでアドバイスを受けた。
カウンセリングでは予約時のアンケートを基に、好んで着る色や似合わないと思う色を聞かれた。普段は紺や水色を多く身に着け、ベージュや茶、赤が苦手。服の色が偏りがちなため、似合う色を知ってコーディネートの幅を広げたいとの要望を伝えた。
いよいよ診断へ。高渕さんは鏡の前に座った記者の胸元に色とりどりの布を次々と当てていく。濃淡がさまざまなピンク、青、白、黄などその数は全部で70色。専用の布「ドレープ」を使い、顔の映りや輪郭の見え方の変化を調べるそうだ。
確かにカーキや茶は顔全体が暗くくすんで見え、淡いパステル系の色は明るく透明感がアップして見える。同じピンクでも赤みが強い方はあまり似合わず、薄いと顔が映える感じがした。どんなピンクが自分に合うか傾向が分かってくる。
約1時間半の診断で記者は「ブルベのサマー」タイプとの結果。桜の花びらのような淡いピンクや明るい水色、薄いラベンダー色などが似合うそうだ。
価格は1万5千円でお薦めコスメの提案もセットで受けられる。友達同士や姉妹で訪れて診断の様子を見合うケースが多く、高渕さんは「服は流行をまねるより、自分に似合う色を知った上で購入したいというニーズが高まっている」と話す。
記者が以前行った自己診断は「イエベのスプリング」。今回の結果で自分にはもっと似合う色があることが分かった。高渕さんから「苦手なベージュでも黄みがかっていないものを選んでみて」と助言され、買い物での選択肢が増えた気がした。
全身撮影、AIが提案→とらわれすぎず一つの基準に
興味はあるけれど、もう少し手軽にできないかな…。そんな人にお薦めしたいのはAI診断。カメラで全身を撮影するだけでパーソナルカラーや骨格、顔タイプを一度に教えてもらえる。
岡山市北区田中の美容サロン「IPSE(イプセ)」は、カメラで読み取った体のパーツの位置や特徴から、似合う色や服装、顔の印象などをAIが提案するシステムを開発した。肌の色や質感をチェックした後、瞳の色や虹彩の模様を調べる専用カメラを目元に10秒間当て、次に全身を15秒間撮影。たったこれだけで完了だ。
顔や体をまじまじと見られるのは何だか恥ずかしい!と感じる森田奈々子記者(26)もこれならできる。店長でビューティー・コーディネーターの森本美恵子さん(50)が担当してくれた。
結果をまとめた紙を基に説明を受ける。記者は「ブルベのウインター」タイプで「黒髪が似合い、寒色系の服やメークで顔が映えますよ」と助言された。茶髪好きだが、友人から「断然黒髪が良い」と言われ続けているのを思い出す。AIの信頼性を少し疑っていたが、テンションが上がった。
森本さんによると、パーソナルカラーが若者の間ではやりだしたのは2018年ごろ。SNSの普及で自分の姿を発信する機会が増え「少しでもよく見られたいと思うようになったからでは」。ただパーソナルカラーにとらわれすぎて、おしゃれの幅が狭まるのは面白くない。一つの判断基準として知った上で、好みの色やファッションアイテムにバランスよく取り入れるのが良いとか。
価格は5500円。似合う髪形やスタイルがよく見える服装、お薦めのアクセサリーの形なども分かる。
【パーソナルカラー診断】生まれ持った肌や髪、瞳の色から自分に似合う色を導き出す。顔の印象がよく見える色の彩度や明度によってイエローベース(イエベ)の「スプリング」「オータム」、ブルーベース(ブルベ)の「サマー」「ウインター」の計4タイプに区別されるのが一般的。