旧電機店を発酵食品のカフェに「発酵(発光)でまちを明るく」甘こうじ、酢こうじ、自家製にこだわったランチやスイーツ人気

京都新聞社 京都新聞社

 波多野千惠美さん(59)は「体を中から元気にする」という発酵食品の魅力を伝える「シマカフェ」を、京都府南丹市美山町の旧電機店を改装して開いた。給食調理員の経験も生かし、こうじや黒豆みそで丁寧に味付けしたランチやスイーツを提供。気軽に集える場として「地域を明るくしたい」と願う。

 同町島出身。昔から食事や料理が好きで、同市の給食調理員や小学校の用務員を務めていた。だが50歳ごろの病気を機に、食を通じた体づくりの大切さを痛感。「自律神経を整え、体を内側から温める」という発酵食品に引かれて仕事のかたわら勉強し、民間団体が認定する「発酵食品ソムリエ」を取得した。

 定年後に店を開きたいと考えていたが、約3年前に閉店した同町静原の「竹島電機」が建物の借り手を探していると昨夏に知った。長年親しまれてきた店に「再び明かりをともしたい」と感じ、奥まった「隠れ家的」な立地にも引かれ、開店を決意し今年3月に退職した。

 築約50年の建物は木材を多用した温かみのある内装にした。外壁も塗り直したが、地元でなじまれてきた竹島電機の文字は残した。光る電球をデザインした店のロゴは「発酵(発光)でまちを明るくする」とのしゃれだ。店名は自宅がある同町島と電機店時代の屋号から名付けた。

 6月6日に開店した。和知産黒豆のみそ、砂糖に劣らない甘みとうま味を兼ね備えた甘こうじ、酢こうじなど多彩な自家製の調味料にこだわったランチやチーズケーキが近所の人やツーリング客から人気を集める。

 自家産の野菜を育てる肥料に使うおがくずや米ぬかは、同町大野にある酵素風呂の温浴施設「発酵人間」で使い終えたもの。「美山の中で循環を生めれば」と意気込む。

 当面は1階のみ営業するが、2階はサークル活動に安価で貸す予定。中古の厨房(ちゅうぼう)機器を安く譲られるなど「知り合いの優しさが集まってオープンできた。地元のコミュニティースペースにして恩返ししたい」と計画する。

 料理の幅を広げようと、発酵食品と関連する「薬膳マイスター」の取得に向けて勉強を始めた。「目標を持って過ごすと健康でいられる。終わらない食の探究を続けたい」

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