自転車の後輪が、生き物のように動く「乗り物」を発明! SNSで絶賛の声「ストランドビースト」って知ってる?

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「お父ちゃんがずっと作りたかったというテオ・ヤンセンさんのストランドビーストと自転車の組み合わせを参考にしたものが完成したようです。時間がある時にこつこつと作業をしていました。お父ちゃん、何やってるんですかーと言ってしまいましたができあがってみると面白い。夏休み前に終わってよかった」

“現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ”とも呼ばれる、オランダ出身のアーティスト、テオ・ヤンセンさんの代表作「ストランドビースト」の歩行システムを、自転車の後輪に取り付けた作品の動画をツイッターに投稿した、栃木県那須町でB&B(※)を営む「garden house sara」さん(@g_h_sara)。

動画には「お父ちゃん凄いですね」「実際に作っちゃうという誇れる成果」「機構システムがテオ・ヤンセンそのもの」「パイプだけれどちゃんとした猫っぽい足ですよね(笑)」「田植え機みたい!」などと、絶賛するコメントが続々と寄せられ、話題を集めました。(※B&Bとは、ベッドアンドブレックファストの略。宿泊と朝食をセットにした宿泊施設)

ヤンセンさんは、プラスチックのチューブやペットボトルなどを組み合わせ、風の力で生き物のように動く巨大な作品「ストランドビースト」(砂浜の生命体)を作ることで知られています。この「ストランドビースト」にインスパイアされた歩く自転車を作る人たちが世界各地で”増殖”しているとか。

今回お父ちゃんこと、「garden house sara」さんの旦那さんが自作の「ストランドビースト自転車」を完成させたとのこと。どんな作品ができたのでしょう? 旦那さんに聞いてみました。

コロナも落ち着いて製作に踏み切った…約1カ月で完成

──作ろうと思ったきっかけは?

「ヤンセン氏のストランドビーストを初めて見たのはテレビのCMでしたが、自転車の後部にストランドビーストの脚部を合体させた作品は、YouTubeの関連動画で見たのがきっかけです。こちらの動画を見た時から、自転車が好きで、溶接も好きな私は、いつか自分も同じ自転車が作れたらという思いがありました。

ただコロナ禍になり、時間が少しできてお客さまも激減してしまい、気持ち的にも経済的にもゆとりがなかったものの、今年はお客様も動き出し、気持ちに多少ゆとりができて今回の製作に踏み切りました」

──作品の製作期間や材料、工夫したところなどを教えてください。

「実際の製作にあたっては、製作過程までかなり詳細に紹介されたYouTube動画などを参考にしました。田舎とはいえ鉄工は騒音が出るので1日に2、3時間、たまに丸一日作業が出来る日もありましたが合計で1カ月くらいは要したと思います。たまたまホームセンターで見つけたビニールハウスのパイプを使いました。そして、ペダルから通常の車軸を介して上方にチェーンを2段階掛けているのですが、ここのパーツの組み合わせ方は唯一、このバイクオリジナルと思っております。

ちなみに、前半分の自転車は、知り合いのショップで廃棄される予定だった自転車の中から程度の良いものを譲っていただきました。将来いろいろな方に乗っていただきたいと考え、あえてスポーツタイプではない普通の通学自転車にしました」

完成後、周囲の反応は?

──完成した際の周囲の反応は。

「自転車の形になって動いたのを見たのは妻が初めてでしたが、意外と面白がってくれたのでそれがとてもうれしかったです。また、その試運転の時に偶然友だちが訪れ、文字通り『目が点』になっていたのを見て妻と二人で大笑いしました。

完成前にFacebookなどに作成過程の写真も何度かアップしていたのですが、それだけでは意外なほど何を作っているのか分かっている人が少なく、完成し、歩いた動画を見て初めて『凄い!』『あのパーツはこのためだったのか!』と驚いた方が多かったです。先日は、自転車仲間でもある近所のカフェで一日だけ動態展示させていただきましたが、やはり動画と現物では迫力が違ったようで、多数の方が興味を持ってくださったようです!」

──これから作品はどう活用する?

「現在は当方のガレージ内に静かに鎮座しております。当方は予約制ですが夫婦二人で仕事をしておりますので、今までしていたように、ご宿泊・体験にいらしたお客さまの中でDIYや自転車などに興味のある方にはストランドビーストをはじめガレージ内の作ったものを見ていただければと考えております。これからシーズンなのでDIYはしばらくお休みですが、今度はテーブルの上で動く小型のストランドビーストも挑戦したいです」

──ヤンセンさんの作品の魅力とは。

「まだ実際に実物に触れたことがないのが残念ですが、身近な素材を使ってあれだけの巨体を作り出してしまう情熱、そして何と言っても生命体のようななめらかで連続した動きが圧巻。今現在も休みなく進化し続けていることも素晴らしいです。現在は、島根県立美術館でテオ・ヤンセン展が開催されていますが、今後栃木やまた近隣でテオ・ヤンセン展が開催される時には必ず行きたいと思っています」

「テオ・ヤンセン展」は松江市の島根県立美術館で8月28日まで開催中です。

「Garden House SARA」

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