「ミレービスケット」って知ってる? 昭和なレトロ包装のデザインは、なんと80歳の専務!

松田 義人 松田 義人

全国的には流通していなくても、地元に根付き愛される“ご当地おやつ″があります。ご当地おやつの味に慣れ親しんだ人は「これ食べて育った!」「これって全国区のお菓子じゃなかったの!」といった様々な思いを抱きますが、ご当地おやつばかりを集めた集大成本が登場しました。『日本ご当地おやつ大全』(辰巳出版)です。

載っているご当地おやつは約300種類。ページをめくると、今では全国にファンを持つようになったものや県外の人にとっては「はじめまして」の商品が続々登場。パッケージを眺めるだけでもワクワクします。高知県の「ミレービスケット」を紹介します。

80歳の専務がパッケージデザインを考案!

本書の巻頭を飾った「ミレービスケット」は、高知県の野村煎豆加工店による商品で、昭和30年代から続くベストセラーおやつです。レトロな雰囲気のあるパッケージですが、時代に左右されない洗練された意匠でもあり優れたグラフィックです。このパッケージは80歳を迎える専務がデザインを考案しているとのこと。あえてレトロ感を狙っているのではなく、長年の経験値がなせるもの。時代に流されない魅力はそこにあるようです。

「ミレービスケット」は、ほどよい塩味と独特の香ばしさが特徴。「完全自動化せず、人の手で揚げ、人の手で味付ける」というアナログ製法だからこそ生まれる味わいです。その工程ゆえに避けられない「多少の味ムラ」も魅力のひとつのようです。

ご当地おやつは、全国に流通する商品と違って、その歴史や味のこだわりを知る機会はなかなかありませんが、この「ミレービスケット」が象徴するような、ご当地おやつにまつわる秘話が、多数収録されているのも同書の魅力です。

「ご当地ジュース」もまた意匠がキュート

お菓子やおやつだけでなく、「ご当地ジュース」のコーナーもあります。各地で不動の人気を誇る「ご当地ジュース」ですが、県外の人には、そのパッケージもまた真新しくかわいく映るはずです。本書収録の「ご当地ジュース」を見ていきましょう。 

■リボンナポリン(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)
1911年発売、道産子なら誰もが知る北海道限定の炭酸オレンジジュース。

■ローヤルトップ(名古屋牛乳)
1967年の発売以来、東海地区で愛される炭酸栄養ドリンク。はちみつ入りでスッキリとした甘さがあり、お風呂上がりにぐびぐび飲むのもおすすめ。

■コアップガラナ(小原)
ガラナ(赤い実をつけるツル性植物)の実から抽出した「ガラナエキス」が入ったピリッとした刺激がクセになる炭酸飲料。1960年の発売以来、北海道のドリンクとして定着。

■ロールさわやか(北陸ローヤルボトリング協業組合)
透き通った緑色のきれいな炭酸飲料。福井県で1978年に発売されるや大ヒット。子どもから大人まで愛される、まさに福井のソウルドリンク。

■クリームソーダ スマックゴールド(桜南食品・小松飲料・鈴木鉱泉)
1968年に誕生したクリームソーダ味の炭酸ドリンク。三重県桑名市の老舗飲料メーカーである鈴木鉱泉が瓶詰のクリームソーダ飲料を開発し、中小飲料メーカー数社とともに統一ブランド『クリームソーダ スマック ゴールド』(愛称スマック)として発売。「クリームのささやき」のキャッチフレーズと、 細やかな泡立ちのミルク風味で大ヒット。現在も複数の飲料メーカーが製造・販売するロングセラー商品に。

資料性も高く手元に持っておきたい一冊

担当編集者に話を聞きました。

「地元スーパーなどの定番商品であり、地元民が愛してやまないソウルフードでもある“ご当地おやつ″ですが、手作り感のあるやさしい味わいや、パッケージデザインの素朴さなどは、地元民でなくともどこか懐かしさを感じずにはいられません。さらに、その土地ならではの特産品を使ったものや、独特な形、個性的な味なども、ご当地おやつの大きな魅力の一つです。

そんな多種多様なご当地おやつに共通しているのは、 なんといっても『おいしい』ということです。だからこそ、長年地域で愛されているのでしょう。
本書は、それらの時代による変遷なども見て楽しめます。また『ご当地おやつカタログ』的に眺めるだけでも楽しめる一冊として、本書をぜひ手にしていただきたいと思います。

どのページを開いても、そこにはユニークでオリジナリティあふれる、そしてとびきりおいしそうなおやつがずらりと並んでいます。この国の豊かなおやつ文化をとくとご堪能いただければ幸いです」(担当編集者)

眺めているだけでもワクワクしてくること間違いなしの同書。資料生も高いことから手元に持っておきたい一冊です。ご当地に赴く人はそこで出会う人との話のネタやお土産のリストとしても役立ちそうです。ぜひ、ご当地おやつにまつわる多くの物語に触れてみてください。

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