「【拡散希望】140サイズとかのボディスーツ、ユニクロで出してるんだ〜って思いレビュー見てたら、重度心身障害児や自閉症児のママたちがこれを本当に重宝してて、廃番を恐れていっぱいレビューにコメントしてるの見つけてしまったTwitterパワーで廃番阻止できんかなぁ」
ひとりの女性の声が企業を動かしました。
廃番になるかもしれない「KIDSコットン前あきクルーネックボディスーツ(半袖)」の存続を願うツイートを投稿したのはあやねさん(@ayanebula2)。ツイートはまたたく間に拡散され、3.1万回リツイートされ販売企業であるユニクロにまで到達。
ツイートの5日後には、ユニクロからあやねさんへ「KIDSコットン前あきクルーネックボディスーツ(半袖)」へのご意見、誠にありがとうございます。 お客さまのご要望と応援により、この度販売継続を決定いたしましたことをお知らせいたします」と直接報告されました。
「拡散、本当にありがとうございます!ユニクロ様本当にありがとうございます!!」と感謝を述べるあやねさんと販売継続を即決したユニクロに取材しました。
Twitterのパワーに感動
他社にはベビーサイズ用のボディスーツ(ロンパース)は珍しくありませんが、ユニクロの「KIDSコットン前あきクルーネックボディスーツ(半袖)」は、110〜160cmの大きなサイズでも展開。「動いてもはずれにくく、着脱も簡単なプラスチックスナップボタン仕様」「コットン100%のフライス素材。素肌にやさしくフィット。「ぬいしろが肌にあたりにくい仕立て」などの特徴があります。
ただ、公式サイトを見ると金額が190円(6月26日時点)、半袖とあって夏にこれから重宝するはずなのに、売り切れたサイズも。そこで、「これは廃番に向けて在庫整理をしているのではないか?」と恐れた人々が行動に。商品レビュー欄には、「障がいを抱えている方、介護の現場でも活用されています」「ロンパースみたいなのって100cmくらいまでしかない…ほんとの意味で痒いところに手が届くタイプの商品です」「重度心身障害をもつお子さんを育てている家庭には、なくてはならないサイズと仕様」などの声があふれました。
これらを目にしたあやねさんがSNSで存続のお願いを呼びかけたのが、今回の販売継続決定の後押しとなりました。あやねさんに聞きました。
「廃番にしないで!」
――あやねさんのつぶやきが、ユニクロに届きました。SNSでも「声って届くんだ」「優しい世の中ってこういうこと」などの声も挙がっています。
「Twitterのパワーを実感しました。販売継続で、助かる人がたくさんいることを考えると泣けてきます。私だけではなく、みんなの声で天下のユニクロが動いてくれたと思っています。声をあげ、拡散してくれた皆様、利益ではなく必要とする人のために商品を作ってくださるユニクロ様(以下 敬称略)には感謝の気持ちでいっぱいです」
――ユニクロのボディスーツ、あやねさん自身も子育てで愛用しているんですね。
「無くてはならない存在です! Twitter子育て界隈(通称ママ垢)では、肌着はユニクロのボディスーツが最強と語り継がれています。肌が弱い子にも新生児にも安心して着せられて、ガシガシ洗濯してもヘタらない。このボディスーツだけではなく、多くの人がユニクロの肌着を着て生活していると思います」
――きっかけとなった投稿をしたのは、できるだけ多くの人に知ってもらいたい、声を届けたいという思いから?
「そうです。ボディスーツのレビュー欄には、体が不自由な子やアトピーの子、オムツを触ってしまう子、胃ろうや呼吸のための管をつけている子が着る服として欠かせない、という声がたくさん書き込まれています。他の服のレビューとは、全く違う切実かつ悲痛なレビューで埋まっていて、思わず涙しました。
同時に、必要とする人の数が少ないため、この声が届かないかも、と考えると、とても悔しく感じて…。 私のフォロワーの方は同じく子育てをするママがほとんどです。商品レビューを見てその価値を知ったら、継続して欲しいと思う人は必ずいる、大きな声になるはずだと思い、“このサイズのボディスーツを作ってくれてありがとう。どうか無くさないで、作り続けてください”という願いを込めて、ツイートをしました」
――あっという間に拡散しました。
「この商品を必要としている人たちの助けになりたいと思う人がたくさんいるということに感動したと同時に、これだけ大きな声になれば、もしや思いが届いて生産を継続してくれるのではないかという期待も持つようになりました」
たくさんの声と応援が継続発売の決め手
ツイート拡散を受けて「KIDS コットン前あきクルーネックボディスーツ(半袖)」の販売継続を決定したユニクロ。同社のPRチームは、「弊社ではより多くの方にユニクロ商品をご愛用いただくために、お客様からいただくご意見、ご指摘を真摯に受け止め、実際に商品のアップデートやサービス改善に生かしております。今回、改めてお客さまのご意見と応援、ご支持をいただき、継続発売となりました」とコメント。
2020年9月に発売開始となった同商品は、子ども用サイズのロンパースがなかなか世の中にないこと、あっても高額ということが誕生の背景にあったそう。必要とされる人に直接ヒアリングを行って商品開発したものだそうです。
「親御さんが手作りされていることや、お子さまが成長する度に、睡眠時間を削ってリメイクしているといったことを伺い、大変負担になっていらっしゃることを知りました。下着としてお求めしやすい価格で買い替えやすく、着用されるお子様さまが快適に過ごすことができ、着替えをお手伝いする親御さんのご負担を軽減する商品を作りたいと思い、発売に至っております」と、やはり世の中にはない商品だからこそのボディスーツだったのです。
今回のユニクロの決断については、「採算が合わない商品でもニーズに応え続ける企業の服を着るのは誇らしい」「毎日着るものをユニクロが買いやすい価格で作ること、売ることがありがたいし、大切」「介護用の靴下や前開きのワイヤレスブラも作り続けて欲しい」といった声も続々。
あやねさんは、「コメントがたくさん寄せられるなか“企業は売れる商品を回転率良く売りたいものだが、同じ商品を長く作り続けることが大事”という言葉が印象に残りました。福祉に近い商品づくりをする際には、一度かけたハシゴを外さないことが大切なのだと。実は、要望を拡散したことでユニクロに迷惑をかけたのではないか、と心配もしていたのですが、真摯で迅速なご対応、素晴らしい決断で。本当にありがとうございます、の気持ちでいっぱいです。ユニクロの『LifeWear』は“あらゆる人の生活をより良くするための服”とのことですが、今回のことはその企業理念を体現していると思います。ツイートもしたのですが、ずっと着続けますし、これからも皆の『LifeWear』でいて欲しいです」と語ってくれました。
■あやね3m3/15さん Twitter @ayanebula2
■ユニクロ https://www.uniqlo.com/jp/ja/products/E431566-000/00?colorDisplayCode=03&sizeDisplayCode=130