【インド】家を借りても「家賃1.5倍に上げる。払えないなら出て行け」 契約ひっくり返すのはなぜ?お金に超シビアなインド人 現地で商売する会計士に聞いた

中将 タカノリ 中将 タカノリ

日本とインドの感覚の違いがSNS上で大きな注目を集めている。

きっかけになったのは公認会計士の野瀬大樹さん(@hirokinose)による「ワイはインドで10年以上商売やってて、契約結んでてもあとで『事情が変わった』『そんな条項は不当だ』とか言い出して、まったく守ってくれない人とかに昔はぶち切れてたんだけど、最近分かったのは彼ら彼女ら本当に悪気はないんだよな。本当に心の底からそう思ってるんだ」という投稿。

「契約を結んだ時や約束したその時には『できる』『守れる』と思ってる。でももっと取り分が欲しいと思うようになったら契約に反していても自分の希望を伝えることを悪いと思っていない。良く言えば将来の自分に対してポジティブシンキング過ぎる、悪い言い方すれば将来のこと全然考えていない」と野瀬さん。

14億人以上いるインド人をひとくくりにすることは出来ないが、実際に長年インドで事業を展開し、多くの人と交流してきた野瀬さんの言葉には重みがある。

今回の投稿に対し、SNSユーザー達からは

「そそ。短期目線ばかり。『守れないなら制裁します』以外いうことなしです。契約違反料取るか訴訟か警察に訴えてクローズケースです。」
「信義則は期待できないなら、約束を守らないともっと損になるという状況を作れないなら契約はするな、ということですかね」
「そんな中で結構なポジションを取れてるスズキって改めて凄いですよね…」
「契約とは違うのですが何年前かのテレビでインド人に道を尋ねると嘘を教えられるという検証をしていて、その結果が『何も教えてあげないのは可哀想だから何か教えてあげる(自分が知らなくても)』とありました。インドは心がおおらかじゃないと行けないなと感じました。」
「指向性は違うもののロシア人もそんな感じですね ロシア人は逆にネガティブが故にそうなるというのを見ると、いずれにしても極端な世の見方をしてるとそうなるのかもしれませんね」

など数々の共感の声、驚きの声が寄せられている。

投稿者に聞いた

野瀬さんに話を聞いた。

ーーインド人との商取引でこういったトラブルが起こることは"あるある"なのでしょうか? 

野瀬:あるあるというか日常茶飯事です。仕事じゃないとしてもよくあるケースとして、 自宅の大家さんからある日突然「もっと高い値段で借り手くれる人が見つかったから来月から家賃を1.5倍にしたい。嫌なら今月末に出て行け」と言われます。

ーー日本人の感覚ですと驚きしかないです。

野瀬:仮に3年契約で家を借りていてもそうです。インド、特にデリー周辺は経済成長が著しく家賃の高騰も激しいので、大家さんも周囲のマンションがどんどん高値で貸しているという話を聞くと「しまった!私だけ損してるじゃないか!それなら私ももっと高値で貸したい!」 となるわけです。3年契約の存在など関係ないです。その時、彼ら彼女らは皆「契約は確かにある。でも事情が変わった!」と言うのです。

ーーもし裁判になったら…

野瀬:もちろん裁判になれば勝てますが、時間もコストもかかるし、外国人登録の住所を変えるのも大変です。大家さんを完全に敵に回すと、今後家に不備や修理の必要が出た場合に全く対応してくれなくなるのは目に見えているので、泣く泣く引っ越したり値上げを呑む人が多いです。

 ーーそういったトラブルはプライベートの友人付き合いでも頻発するのでしょうか?

野瀬:これは私の感覚ですが、お金が絡まないとインド人は本当に良い人が多いです。おそらく日本人よりもずっと良い人だと思います。でもお金が絡むと滅茶苦茶シビアになります。とにかく「得したい!損したくない!」と。もちろん時間にルーズとかそのあたりは日本人からみたらその通りなのですが、基本的にお金が絡まないとおおらかな人が多い印象です。

ただ一点注意ししていただきたいのは、これらの傾向が強いのは私が住む北インドでのことで、南インドに行くとこの「お金にシビア」という傾向は薄まると聞きます。インドはものすごく大きな国で、人種も民族も言語もさまざまですので。

ーーインド人のこういった思考や価値観について。

野瀬:このあたりのインド人のポジティブシンキングというか前のめり感について投稿すると、8割の日本人からは「酷い国だ」「俺は無理」というリプライが来るのですが、2割くらいの人からは「日本人もそれは見習わないとな」 というリプライが来ます。私は実はこの2割の人と同意見です。

一見、理不尽なようにも思えるのですが、自分の将来は豊かになるはずだ、もっと言うと豊かになる「べき」だ…という信念は私は結構好きです。インドではとにかく少しでも高い給料を、と皆思っています。 転職も当たり前だし上司にも昇給の交渉をガンガンやります。このあたり、やりすぎはどうかと思いますが、 私は日本とインドの真ん中くらいが丁度いいんじゃいかなと思っています。

 ◇ ◇ 

読者のみなさんは野瀬さんの考察するインド人の感覚についてどう感じただろうか?バブル崩壊以降の日本人は比較的、引っ込み思案でおとなしい性質だと言われる。それで上手くいっていればいいのだが、経済的には凋落の一途をたどっているので、少しはインドはじめ他国の感覚に学ぶ姿勢があってもいいのかもしれない。

なお今回の話題を提供してくれた野瀬さんにはインドでの体験をもとに、インド人流の成功法則を紹介した著作「お金儲けは『インド式』に学べ!」(ビジネス社)がある。ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。

野瀬大樹さん関連情報
Twitterアカウント:https://twitter.com/hirokinose/

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