「書くを愉しむ」MD用紙ってなに?…デジタルが当たり前の現代に、“アナログの楽しさ”を追求するワケ

織田 繭 織田 繭

文房具店や雑貨店を訪れると数多くのノートやメモ帳などの紙製品が陳列されている。学生時代には授業の板書をとるために大量のノートを消費したということもあるのでは。そんな商品のなかに、一際異質な「MDノート」という真っ白なノートがあるのを見たことはあるだろうか。「書くを愉しむ」という帯がついた、通常のB5サイズのノートよりも少し小ぶりでまるで本のような造りになっているこのノート。中を開いても罫線はなく、真っ白で非常に自由度の高いこのノート。そもそも「書くを愉しむ」MD用紙とは一体何なのだろうか。ノートを始めとして日記帳なども手掛ける株式会社デザインフィルクリエイティブセンター斎藤泰陽さんに話を聞いた。

「書く」ことに特化した紙に詰まったこだわりとは?

MD用紙は実は近年登場したものではなく、その誕生は1960年代にまでさかのぼる。手帳や日記のような毎日書くためのもののためにつくられた用紙で、長年多くのユーザーから愛されている。その特徴は裏移りやにじみがしにくく、どんな筆記用具でもストレスなく書きやすいというものだ。まさに書くためのスペックを高めた用紙となっている。

「社内ではさまざまな筆記具を使って書き心地を手作業でチェックしています。もちろん機械を使って数字の測定なども行っていますが、実際に使ったユーザーから『今回のロットは変だ』と感じられないように人の手でチェックを行っています」

こだわりのつまったMD用紙は、手帳やメモ帳、日記といったいろんな商品に使われている。ダイヤメモは1961年に発売した、当時としては裏表どちらにも書き込めるとい非常に画期的なメモ帳で、ロングセラー製品のひとつだ。その他にも特徴的な日記帳も世に生み出しており、人気を集めている。

使い方は人それぞれな「書く」を楽しむための日記

ミドリが販売している日記帳にはユニークなものもあり、注目されている。実はこういった日記帳は最近登場したものではないことはご存知だろうか。連用日記にかんして言えば1960年代に販売されいた製品で、当時は年配の人向けの備忘録や終活に向けた記録として愛されていたようだ。

しかし、より多くの人に知ってほしいという思いから、2012年に表紙やデザインを部屋に馴染むように一新してリニューアルを実施。その結果若い女性を中心に人気を集めた。

「書けるときに書く、というくらい気楽なものにしたいんです。『白紙を埋めないといけない』『毎日書かないといけない』という思い込みを払しょくしたいという思いがあります」

「毎日の日記を何年も続けることへのハードルが高い人には、日々のできごとではなくその日食べたご飯や着ていた服などの記録にもいいですよ」とアドバイスもその人らしい使い方ができ、過去の振り返りにもなるので新たな発見があるかもしれない。

15周年を迎えたMD PAPER PRODUCTSの魅力

歴史あるMD用紙をふんだんに使用したMDノートは今年15周年を迎える“MD PAPER PRODUCTS”のひとつだ。

「製作者としては使い方を制約したくないので、使い方の提案はしつつも“こう使わないで”“こういうふうに使って”などはなく、とにかく書くことを愉しんでほしいという思いがあります」

ユーザーとしては書くことが好きな人や自分の頭の中を整理したい人、頭の中を可視化したい人などに好まれる傾向があるようだ。使ったあとも捨てずに本棚などに並べておくと自分だけの本として特別感が生まれそうだ。

15周年にあたる2023年に“MD PAPER PRODUCTS”のMDノートをはじめとした一部の商品をリニューアル。MDノートには表紙や一枚捲った見返し、付属のシールはこれまでMD用紙以外の紙を使っていたが、これを機にMD用紙を使うことに。どこを書いてもMD用紙の書き心地で書いてもらえるようになったのだとか。

「紙の厚みやその組み合わせなど、ノートの厚みを変えないようにという工夫し、試行錯誤を繰り返しました。なんにしても、”作ってみないとわからない”というところに苦労しました」

今後の“MD PAPER PRODUCTS”でも書くための日常的なアイテムを増やしていきたいと考えているのだとか。

何気なく使うメモやノートといった紙類にMD用紙を選んでもらえるような製品を出していくという。「紙質が変わることですぐに捨ててしまうようなものではなく、役割がかわっていくようなものにしたいと考えています。デジタルの時代だからこそ手を動かして、それが目に見える形で残るということを大切にしたいんです」と語った。

歴史とこだわりの詰まったMD用紙の書き心地をぜひ体感してみては!

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