家電メーカーのバルミューダ(東京)は5月12日、携帯端末事業を終了すると発表した。「総合的に検討した結果、携帯端末事業を終了し、ほかの事業に注力するべきと判断したため」としている。
トースターや電気ケトルなど洗練されたデザインの製品で人気を集めてきたバルミューダ。2021年11月に「BALMUDA Phone」で携帯端末事業に参入した。曲線だけで構成されたデザインや軽さ、経年変化を楽しめる特殊な背面パネルの材質といったこだわりを押し出した。
しかし10万4800円(直販価格、SIMフリーモデル)と高価格で、情報処理などを担うSoCがSnapdragon765、バッテリーが2500mAhといった決して価格に見合っているとは言い難いスペックが話題になり、ガジェット好きを中心に悪い評判が定着してしまった。同社はソフトバンクショップでの購入者向けのキャンペーンを行うなど販売努力を継続したが、原材料価格高騰の影響なども受け次期モデルの実現を断念。事業終了に伴い、2023年度第1四半期に5億3600万円の特別損失を計上した。
発表後、ツイッターではバルミューダ、携帯端末事業といったワードがトレンド入り。「さすがにな…1ミリもいいとこなかった」「マジで何がしたかった案件、ブランド価値の毀損しかしてねえ」「ネタで買おうとしてたのに」といった反応のほか、「チャレンジはよいと思う」「この経験をもって他製品が良くなると期待しよう」とのポジティブな声もあった。
今後もBALMUDA Phoneの販売は続ける予定で、ソフトバンクショップ、バルミューダ各店舗、オンラインストアなどで購入できる。セキュリティアップデートは今年11月までで、その後も致命的な脆弱性などが見つかった場合は「対応を検討します」としている。SIMフリーモデルの修理は2026年9月末まで受け付ける。