クッションが大好きな高齢の保護犬 視力を失っても自慢の鼻で器用にお散歩 みんなを明るくしてくれる存在

松田 義人 松田 義人

犬の保護および譲渡活動を行う団体、ピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)。今も多くのワンコが同団体の施設で暮らしていますが、その中の一頭が星くん。「くん」付けで呼ばれていますが、同団体の保護犬の中では古参となり、今年で推定13歳になるおじいちゃんワンコです。

警戒心強めの一方、クッションを器用に扱う星くん

星くんがピースワンコで暮らすようになったのは2013年初夏の頃のこと。当初はスタッフに対して警戒心を強く抱き、触ろうとすれば歯を剥き、「近寄るな!」と吠えまくることもある元気なワワンコでした。

しかし、スタッフの懸命なケアと愛情が伝わったのか次第に星くんは心を開くようになり、そしてピースワンコの施設内でも元気いっぱいに遊びまわるようになりました。ときにはドッグランの壁をよじ登ろうとしたり、仲の良いスタッフに甘えてくることもありました。

星くんが心を開き、リラックスして行動するようになってわかったことがありました。星くんはクッションが大好きで、好みの場所に自分で配置し、チョコンと座ってくつろぎます。このことから、星くんはおそらく「元飼い犬」で、なんらかの事情で元飼い主と離ればなれになってしまったのではないかと推測されました。

知らない人への警戒心は解けないまま

すっかりピースワンコのスタッフや他のワンコとも馴染んだ星くんでしたが、初対面の人はやはりどうも苦手な様子。体に触られようものなら、また歯を剥いて怒ります。

こういった性格の難しさもあり、星くんは新しい里親さんが見つからないまま数年が経過しました。

保護犬の多くは、年齢を重ねれば重ねるほど、里親さんとの出会いの機会が狭まる傾向にあります。しかし、では「絶対にゼロなのか」と言えばそうではありません。スタッフはこのかわいい星くんを迎え入れてくれる里親さんとの出会いを最後まで諦めず、期待を持って待ち続けています。

もし星くんに里親さんが見つからなかったとしても、ピースワンコでは保護したワンコを一生涯ケアし続けるシステムを設けており、最期の日を迎えるまで、星くんの面倒を見続ける決意も当然持っています。

全盲になっても、自慢の鼻を使い器用に歩く

ピースワンコでは古参ワンコとなった星くん。今年で推定13歳というおじいちゃん犬となり、同時に体の老化が出始めました。

お腹の下側に皮膚炎が出ており、また網膜剥離という病気で全盲となってしまいました。スタッフは定期的にシャンプーをし、散歩に連れていく際も、安全に十分な注意をくばりながら星くんのペースに合わせて歩くなど、より慎重なケアをするようになりました。

こういった思いが伝わっているのか、星くんはそれでも楽しそう。動きこそ鈍くなったものの、本来は苦手なシャンプーも我慢して受けてくれるし、散歩も自慢の鼻を使って上手に歩いてくれます。

ピースワンコにいる他の目の見えないワンコは低姿勢でカサカサ歩くことが多いのですが、星くんはこういったことがありません。スタッフが持つリードの動きにも機敏に反応して体の向きを変えるなど、どこか几帳面で、運動神経も抜群であることをうかがわせます。

全国からの支援のもと、今日を生きる星くん

スタッフが「何よりもかわいい」と語るのが、星くんの寝顔です。おじいちゃんになった星くんは、少し舌を出して寝ていることがあります。その様子がとてもかわいく、見るだけで癒され、明るい気持ちになると言います。

人間とのコミュニケーションは苦手でも、一度信頼した人には心を許し、そして遊ぶのも大好きなおじいちゃんワンコの星くん。

ケアにかかわる費用や、今後さらに病気などが起きた際の治療費・手術費などは、ピースワンコが設けている「ワンだふるファミリー」という制度により、全国の支援者からのサポートによってまかなわれています。

言い換えれば星くんは、こういった全国の支援者の愛情をたっぷり受けているということでもあります。きっと、星くんが今日もスタッフに癒しを与え、明るい気持ちにさせてくれるのは、こういった支援者の気持ちを感じた星くんからの、恩返しなのかもしれません。

ピースワンコ・ジャパン
https://peace-wanko.jp/

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