春といえば、進学や就職など新たな生活が始まる季節。新生活のために、引っ越しをした人も多いのではないでしょうか?引っ越しはやるべきことがたくさんあって四苦八苦ですが、海外では日本以上に大変な国もあるのだとか。アメリカ・台湾に長期間住んだことがある西村さんによると、それぞれの国での引っ越し事情は日本と大きく違うようです。
アメリカは「自力」で引っ越し!?
英語と中国語が堪能な西村さん。海外での暮らしが性に合うようで、学生の時から交換留学などを利用し海外へと学びの場を広げていたそう。海外生活では、住まいを変えることが多かったそうです。
ーーいろいろな国で引っ越しを経験したそうですが、まずはアメリカの引っ越し事情をお聞かせ願えますか?
西村さん:実はアメリカでは、引っ越し業者に依頼するのは大きな家族だけ。基本シングルの人やカップルは大きめのバンを借りて、友達に手伝ってもらって自分たちでやることが多いです。
ーー引っ越しは大きな労力を費やすのに、業者を使わないとは驚きですね。
西村さん:そうなんです。でもそれが故に、物を壊してしまったり、慣れない力仕事で筋肉痛になる人も多くいます。私の元同僚も自力で引っ越しをして、当日はことなきを得たそう。けれど次の日、オフィスで椅子から立ち上がっただけでぎっくり腰になっていました!
ーー西村さん自身も引っ越しはご自分でされたのですか?
西村さん:ぎっくり腰になるのが嫌だったので、自分ではやりませんでした。アメリカの情報交換サイトに書いてあった、「引っ越しの手伝いをしている人」にお願いしてやってもらいました。
なぜ引っ越し業者を使わないの?と思いますよね。実は業者も探したのですが、同じ市内のシングル用引っ越しにまさかの$1800(約24万円)以上…。びっくりするような値段だったので、諦めて手伝いをお願いしました。
日本で生活していたときは自力で引っ越しをしようなどと考えたこともなかったので、苦労の連続。引っ越し後は、荷解きをする気力も無くなるほど疲れ切ってしまって…。この時ばかりは「日本に帰りたいなぁ」と心底思いました。
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ちなみに米国国勢調査局(U.S Census Bureau)の調査によると、アメリカ人の生涯引越し平均回数はなんと11回以上!平均して3回程度という日本人と比べるとかなり多い結果に。これだけ引越しの回数が多く費用が高いとなると、自力でやってしてしまうのも納得のいく話です。
台湾の引っ越しは「安いけど、ドキドキ」!?
なかなか厳しいアメリカの引っ越し事情を話してくれた西村さん。続いて台湾での引っ越し事情について尋ねてみました。
ーー台湾のお引っ越しはいかがでしたか?アメリカでは引越しの際、業者を利用していませんでしたが、台湾ではどうでしょうか?
西村さん:台湾は多くの物件が家具付きで貸しに出されているので、引っ越しで運搬するのは衣類や雑貨などの荷物のみです。大きな家具等の移動がほとんどなくて、とっても楽でした。簡単な荷物の移動のみでしたが、台湾では引っ越し専門の業者を使いました。
ーーなるほど、家具などの移動がないのはとても便利ですね!お値段はどんな感じでしたか?
西村さん:私がお願いした業者は3000元(約1万3000円)と、とても安かったです。ただ台湾人の友人曰く、私のようなシングルの人なら2000元(約8700円)くらいでやってくれるもっと安いとこあったよ!と言われてしまいました。
ーー引っ越しで台湾ならではの出来事などはありましたか?
西村さん:台湾人は時間に少々ルーズなこともあって…。今回の引っ越しも何の連絡もなく20分以上遅刻してきました。
あと、搬送作業がとっても雑で。日本で引っ越しをしたときは、作業がとにかくスピーディーで的確!荷物も丁重に扱ってくれた記憶があるのですが…。台湾では同じようにはいきませんでした。『われもの注意』と中国語で書いておいたのに…ダンボールを床にバンッ!と置かれた時には、さすがに『もっと丁寧に扱って!』と注意してしまいました…。
ーー中身は大丈夫でしたか?
西村さん:実は中に入っていた食器が数枚割れていました。その場では確認できず、あとでわかったので、一応苦情を入れてみたものの「そんなの自分たちのせいで割れたのか、わからない!」と一括され終わりにされました。割れたのは、お気に入りだけど安いお皿だったのがせめてもの救いでした。
友人は引越しの際に除湿機を壁に当てられて、一部が欠けてしまったそうです。業者と言い争いになったと言っていたので、私は被害が小さくてよかった思いました。でも『日本だったらこんなことはなかったんだろうな〜』と、里心が頭をよぎった瞬間でした。
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台湾の引っ越しでの悲しい出来事を語ってくださった西村さん。日本の単身引越しパック価格の平均が約2~4万円程度というのを考えると、台湾の引越し代金はお財布にやさしい価格帯ですね。でも、物が壊されてしまうのはショックですね。
日本で同じように物が壊れた場合は『標準引越運送約款』という約款に基づき、修理が効くものは修理費用を、修理不可能な場合は代替品やお金で補償をしてくれることが多いそう。しかし外国では日本のルールは通用するわけはありません。
新生活を始めるうえで、はじめの一歩でもある引っ越し。あなたはどちらの国の引っ越しスタイルがお好みですか?