佐賀県佐賀市にある、猫と花の可愛いイラスト看板が目印の「第一園芸センター」は地域に根ざした園芸店。店内には花や野菜、観葉植物、園芸用品など数千種類の商品が揃い、園芸好きのお客さんで賑わう。そんなお客さんや店で働くスタッフたちをいつも和ませているのが、田中雄一郎社長(42)の飼い猫で「猫社員」と呼ばれている「たま子」(メス、3歳)だ。人気だった先代のハチワレ看板猫「ひまわり」(メス、16歳で没)が天国へ旅立って半年後、縁あって2代目に。人間が大好きで、誰になでられてもいやがらず、園芸ファンを魅了している。たま子との出会いや接客ぶりなどについて、田中社長に話を聞いた。
先代のひまわりが虹の橋を渡って半年が経ったころ、出入り業者の方から「妻の実家の倉庫の中で、飼い猫が赤ちゃんを5匹産んだ」との話を聞いて会いに行ったのが、たま子との出会いでした。他の赤ちゃんたちは活発なのに、一匹だけじっとしてほとんど動かなかったんですよ。看板猫として店で過ごしたりお客さんと接したりするには、おとなしい子がいいと思い、その子を譲り受けました。それがたま子です。そこの家がたまねぎ農家だったので、「たま子」と命名しました。
先代のひまわりは、レジの中でスタッフがせわしなく立ち回っていても、足元で堂々と寝ているような肝の据わった子でした。オドオドせず、デンと構えていられることは、看板猫の大事な資質の一つ。たま子を店に連れていくと、ひまわりがいなくなってずっと猫ロス状態だったスタッフたちは大喜び。そして、たま子もひまわりと同じように、人に動じず、誰にでもなでられる、立派な看板猫に育ちました。
営業時間以外は店の近くにある私の自宅で暮らし、毎日、私と一緒に「出勤」します。うちのスタッフはみんな猫好き。朝礼ではスタッフらがたま子に「おはよう!」と挨拶し、じゃれあって遊んだり、「昨日はこんなことがあったよ」とたま子のことを話したりすることからいつも1日が始まります。
以前、店内に鳥が迷い込んできたことがあったんです。その時なんか、ふだんはみせない真剣な表情で鳥を追い、「あんな顔もするんだ」って、ふだんの顔とのギャップにびっくりしたことも。そんなふうにいつも話題を提供してくれるので、みんな元気をもらっています。
子どもから高齢者まで、苦手な世代のないたま子ですが、実は、女性にはツン、男性にはデレなんです(笑)。農家のおじさんとか土の匂いがする男性が特に好きで、そういう人がやってくると、足元でスリスリしまくります。
毎週1回、必ず店に来て爪をケアしてくれる女性がいたり、肩の上に乗ってゆらゆらしてもらう男性がいたり。「たまちゃん、元気?」とわざわざ会いにきてくれる常連さんたちも大勢いるんですよ。そのたびに場が和みますし、お客さんとの会話も弾みます。猫ってすごいパワーを持っていると感じます。ほんと、スーパー社員です(笑)。
心を込めて生育環境を整え、世話をしてあげれば、植物はこちらの気持ちに応えて美しく育ちます。それは生き物すべて同じだと思います。食事や健康に気を使い、周囲のみんなが愛情を込めて接することで、これからもたま子を輝かせたいですね。
【店名】「第一園芸センター」
【住所】佐賀県佐賀市南佐賀2-14-5
【インスタグラム】@daiichi_engei_center