「新社会人の救世主」 適当な一言をビジネス敬語に変換するAIサービス「業務効率アップに」と話題

ししまる555 ししまる555

 たった一言のメッセージを入れるだけで、ビジネスメールに使える文章に変換してくれるAIサービス『3秒敬語』が、SNSで話題となりました。Twitterでサービス紹介を投稿したのは、Webサイトの制作を担当した大西拓磨さん(@IlllIlllIlIlIll)です。

 誰でも無料で使えるWEBサービスである『3秒敬語』は、4月12日にリリースしました。若者の人材支援を行っている孫正義育英財団内で、コラボ活動として助成されたプロジェクト企画であり、様々なAIサービスを研究開発している早川尚吾さんが技術監修しました。

『3秒敬語』のサイト(https://3keigo.com/)へアクセスして手短かにメッセージを入力し、『敬語にする』ボタンを押すだけで、すぐ丁寧な文章に変換してくれます。変換方法は「肉付け翻訳」と「厳密な翻訳」の2種類から選択できます。「肉付け翻訳」よりも「厳密な翻訳」の方が、短く簡潔な文章に変換されます。

 たとえば、「明日はよろしく」と入力して「肉付け翻訳」で変換した結果は以下となりました。

◇ ◇ ◇

〇〇様

お世話になっております。
〇〇株式会社の〇〇です。

明日は、〇〇会議のご参加、ありがとうございます。

ご参加いただく以前から、〇〇部署の〇〇様は、弊社の商品・サービスについて、非常にご関心を持っていただいておりますこと、心より嬉しく思っております。
ますます、ご期待に応えられるよう、努めてまいります。

なお、会議の場所は以下の通りです。

会議室名:〇〇会議室
場所:本社〇〇階

以上、よろしくお願い申し上げます。

明日は、お会いできることを、楽しみにしております。

◇ ◇ ◇

 結果が気に入らない場合、『やり直せ!』ボタンを押すと、すぐ別バージョンの文章を提案してくれます。ユーザー登録をすると、自分の名前・所属・署名を保存しておくことができ、変換される文章に自動挿入してくれます。

 目から鱗のこのサービスに、リプライや引用ツイートでは多くの驚きのコメントが寄せられました。

「新社会人の救世主!」
「新入社員の研修で使えそう」
「始末書を書くときに知りたかった」
「ネットで検索して調べるよりも、圧倒的に早くて便利」
「カスタマーサービスの返信メールに活用させてもらいます」

 まだリリース間もないため、変換のバリエーションが限られており、入力したメッセージによっては「翻訳できません」というエラーが出てきてしまいますが、これからどんどん対応範囲も広がりクオリティが高まっていくことが期待されています。

 なかには、戦国時代にタイムスリップしてしまい会社を休む時の文章(異変が起こりまして、今目の前には戦国時代の風景が広がっております…)や、恋文(ただひたむきな愛の表現でございます…)などの、『3秒敬語』で作成したユーモアあふれる文章を紹介する方も現れました。

 逆に、「頭を使って考えることができなくなるのではないか」「どんどん語彙力が乏しくなりそう」「AIの回答には間違いもあるから、最終的に自分でチェックしないと危ない」といった不安の声も一部寄せられました。

 確かにまだまだAIの回答は完璧なわけではないため、そのままコピー&ペーストをするのではなく、自分で添削するスキルは必要といえます。とはいえ、0から1を生み出すよりも、1を2にする方がイージーであり、時間短縮につながれば越したことはありません。

 そもそも、日本語・日本社会ならではの、ビジネスメールにおける独特な婉曲表現や敬語の言い回しは、外国語では類を見ないほど難解であり、多忙なビジネスパーソン泣かせともいえます。前置きが長いうえに、相手への配慮に配慮を重ねた言葉のチョイス……。

『3秒敬語』を使ってみたユーザーからは、「便利ですけど、そもそも論で、7文字で伝えられる内容が何百文字になる、日本語の奥ゆかしさに気絶しそう」「こんなにも敬わないといけないの生きづらすぎる」「英語みたいに『see you tomorrow』だけの方が国力が上がるのでは?」「送る方も読む方も非効率な文化のような…」などといった反応もありました。

 日本社会のビジネスメールに関する議論はさておき、こういった暗黙のルールのような決まりきった定型文を送らないといけないとき、AIが出した回答を見て参考にすることは、多くの人にとって効率的な学びにもつながり、自分の発想を広げるチャンスともいえます。

 AI技術をベースにしたWEBサービスは近年続々とリリースされており、市役所で試験導入されたChatGPTの活用方法についても話題となりました。業務効率を高めることで、人間の手が必要となるクリエイティブな部分に力を注ぐことができると注目されています。AIと自分のアイディア・スキルを融合させ、より短時間でクオリティの高いものを生産することは、次世代のビジネスシーンにおいて必要不可欠になっていくのかもしれません。

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