“ほぼ日手帳使いのプロ”が提唱する、新発想の超メモ術  「手書き・3分割」で情報をすっきり整理

中将 タカノリ 中将 タカノリ

機能改善士として企業研修などに携わる大西恵子さんが9月30日、同文舘出版から初の著書「『手書き・3分割』で情報を整理する 3スプリットメモ術」を上梓した。

大西さんと言えば、以前、パンパンになるまで使い込まれたほぼ日手帳がSNS上で話題に。まいどなニュースでも「よくぞここまで…パンパンに膨れ上がった9年分の『ほぼ日手帳』の山が話題に」(2020年9月11日公開)という記事で取り上げ、大きな反響を得ていた。

ほぼ日手帳使いのプロが指南するメモ術とはいったいどのようなものだろうか。大西さんにお話を聞いた。

ーーこれまでの機能改善士としての業務内容をお聞かせください。

大西:「機能改善士(R)」という肩書は、私が名付けて2020年に商標登録をした肩書です。主に3つの仕事を行っています。まずは企業の接客や業務実態を把握するために覆面、面談などで調査すること。次に研修やセミナー講義を通じて考え方や実践方法を伝授すること。そして習得した考え方や実践方法が機能しているかどうか、現場やオフィスを訪問して直接指導を行うことです。

この3つの仕事を通して、組織や人の中に健全な流れを創り出すことを目指しています。問題が起きるたびに対処に追われていたら疲弊するばかりですから、そもそも問題が起こらないような仕組みを作ったり、環境を整えていくことに取り組んでいます。

ーー本書の出版が決まった経緯をお聞かせください。

大西:私は大学4年で就職活動をしていた時、毎日「就活日記」を書いていたことをきっかけに記録することをずっと大切にしてきました。就職して業務マニュアルの作成、研修講師になってからは、それが「ネタ帳」作成へと進化していきました。そして11年前からは、ほぼ日手帳を使って仕事の管理を行っています。

いつの頃からか、周りから「手帳・ノート術と言えば大西さん」と言われるようになりました。ですから、いつか本を書くなら私にはこのテーマしかないなと思っていたんです。

ーー世の中にはメモ、ノート、手帳関連の本はたくさん出版されています

これまでこのテーマで執筆したいと言っても「あ~メモや手帳がテーマね」と誰にも相手にされませんでした。でも、手書きは仕事に絶対欠かせないものなんです。

そこで類書を片っ端から読んだり、メモや手帳を使っている友人に使い方や書き方を聞いてみることにしました。すると、結果よりもどう書くか、つまり書き方自体が目的になってしまっている本が多いことに気付いたんです。普段からよくメモやノートを使っている人も、メモを取ること、ノートに書くこと自体が目的になっている人が多いことがわかりました。

書いたものをどのように活用すればいいかわからずに書き方だけを身につけても役に立たないんです。「いい書き方だ、真似しよう!」と思って取り入れるんだけど、長続きしないのは目的が明確になっていないからです。

ーーそんな中、メモだけに着目していますね。

手帳やノートの書き方がテーマになっている本は多いのですが、メモだけを扱っている本って意外と少ないなと思いました。学生時代はノートを取っていましたが、社会人になって仕事で一番使うのはメモです。電話を受ける時、お客様や職場の人と面談する時、会議の時などメモする場面がたくさんあります。しかし最近はスマホやオンライン化などデジタル化が進み、あまりメモを活用していない人が多くなりました。「手書きなんかめんどくさい」「わざわざメモなんて書かなくても…」と思っている人も多いです。

でもメモしないことで、余計な時間がかかったり、仕事のやり直しが発生したり、相手の話をきちんと理解できていなかったり…結局はミスやトラブルが増えてしまうんですね。

ーーなるほど。

デジタル化が進んでいるからこそ、手書きメモを活用することで仕事も人間関係も上手くいく。それは長年手書きのメモを活用していて私が実感したことでもありました。

「書いて終わりではなく活用するためのメモ術」
「問題解決の前にまず紙の上で状況、考え、気持ちなど頭の中にある情報を整理することが大事」

テーマをこの2つに絞って企画を立て直しました。そして「その発想はこれまでなかったかも…」と興味を持ってくださった同文舘出版さんから本を出版することが決まりました。

ーー執筆にあたってのこだわりを。

大西:2つあります。それはテーマをメモの活用に絞り込んだこと、メモを活用しやすくするために3分割することです。本書は手帳でもノートでもなく、メモについての本です。メモとノートの違いって、分かっているようでわかっていない人が意外と多いんです。まずその違いを明確にすることが、活用につながると考えました。

メモは記録の一時保管場所、ノートは継続的に活用したい情報倉庫です。次工程の仕事をスムーズに行うために記録するのがメモの役割。だから、次工程の作業が終わればメモは役目を終え不要になります。だからメモ帳は使えば使うほどページがどんどん減っていきます。

そして、2つ目のこだわりは、今回のタイトルになっている「3分割で情報を整理する 3スプリットメモ」についてです。メモを取る人の悩みで多いのは

「あれこれ書きすぎてしまう」
「どこに書いたかがわからなくなる」
「何を書いたか解読が必要」

の3つです。

それによって、見直したり探したりするのに時間がかかってしまいます。仕事をしている様子を振り返ってみると、探したり、思い出したり、見直したりしている時間って結構多いですよね。この悩みを解消するために、あらかじめメモを3分割して、書き込んでいくようにしました。これは私がずっと実践していることでもありました。

ーー3分割の効果は。

3つに分割することで、必要な情報がサクッと書け、分けて整理しながら書いているのでパッと見れば内容が理解でき、モヤモヤしたこともとりあえず書いておけるので頭がいつもクリアな状態になり、次工程の仕事や対応がスムーズになります。

苦労したこともありました。第3章と第4章で、3スプリットメモをシーン別にどのように活用すればよいかを紹介しましたが、この章を執筆するのはとても苦労しました。

どのような事例だとわかりやすいか?私はどのようにこのメモを活用しているか?読者に活用してもらうために改善する点はないか?文章だけでなく3スプリットメモの活用について、イメージ図の原案も自分で描きました。

編集担当の方と、何度も話し合って改善、改良を重ねましたので、執筆にはかなり時間がかかりました。でも、編集担当の方が、自分が活用することを想定して、疑問や意見をたくさんくださって、改善やあらたな工夫も生まれました。そのおかげで、新入社員から管理職までどの層の方が読まれても、課題や問題を整理するためのステップや、3スプリットメモの書き方を理解していただけるような内容に仕上がりました。

ーー本書を通し、読者に伝えたいことをお聞かせください。

大西:毎日、人には様々な情報が洪水のように押し寄せてきます。年齢に関係なく、人間の記憶には限度があります。そして人間はコンピュータと違って、頭の中で情報や考えや気持ちを整理することができません。

頭は、記憶に使うためにあるのではなく考えるために使うものです。そのために、頭の中にあるものを書き出してみてください。書いた内容を活用しやすくするために、メモの8つの基本ルールを実践してみてください。

詳細は本編60~69ページに記載してありますが、意外と簡単に書けますよ。普段からメモを取りすぎて見直しや探すことに時間がかかっている人も、ここに書かれた8つのルールは有効です。特に、何のためにメモを取っているか、目的を明確にしてみてください。書くこと、書かなくていいことが判断できるようになります。

スッキリした頭で仕事や人間関係を発展させるためにアイデアや工夫を考え、限りある時間を自分らしい仕事やイキイキと生活するために使ってほしいというのが私の願いです。メモはその一翼を担ってくれます。

ーー出版後の反響についてお聞かせください。

大西:出版して1カ月以上が経ちました。読んでくださった方からは、「メモを3分割する発想はなかった」「打ち合わせのメモを3スプリットに変えて内容がとってもわかりやすくなりました」「丁寧にきちんと書かなければと思うと負担に感じていましたが、活用するためにメモを書けばいいんだと思うと楽になりました」という感想を多くいただきました。

また「単なるメモの取り方ではなく、仕事の進め方の基本や考え方も書かれていて役に立ちました」「この本を読むだけで、職場の問題や課題にどう対応していけばよいかがわかるので、職場の全員で共有したい」という感想もいただいています。学校の先生方から「生徒たちにぜひこのメモの書き方を使わせたい」という感想をいただいたのはとても嬉しかったですね。多くの方に3スプリットメモを活用していただいていると実感しています。

読まれた方が、本の内容を、仕事のやり方の向上や良好な人間関係づくりに、役立ててくださっているのが機能改善士(R)としてとても嬉しいです。

   ◇    ◇

Amazonで秘書関連のランキング1位にランクインするなど大反響の「『手書き・3分割』で情報を整理する 3スプリットメモ術」。仕事効率を向上させたいと思う人にはぜひ手に取っていただきたい一冊だ。

【大西恵子さんプロフィール】
オフィス・FLOW代表。機能改善士。物流会社で28000件のクレーム対応を通して業務改善、問題解決力を身に付け現職へ。モニタリング調査、現場改善指導、企業研修に携わり、今年で30年目を迎えた。「健全な流れを創り出せ」という理念の下、問題が起こらない組織作りに力を注いでいる。2019年2月からはnoteでほぼ毎日ブログを執筆。2022年、同文舘出版から初の著書「『手書き・3分割』で情報を整理する 3スプリットメモ術」を上梓。

▽公式ブログ
https://danbell1960.exblog.jp/
▽Twitterアカウント
https://twitter.com/HS1rU7gs2Mamx7F

▽「『手書き・3分割』で情報を整理する 3スプリットメモ術」:(リンク

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