西日本豪雨災害で被災した家屋を解体中に保護された赤ちゃん猫 神社に引き取られ幸せに暮らす 先代を継いで2代目〝名誉宮司〟にも就任

うちの福招きねこ〜西日本編〜

西松 宏 西松 宏

 引き取ったとき、てんちゃんは歯が生えはじめ、哺乳瓶から離乳食へと移行する時期でした。おっとりとして達観した雰囲気のあいちゃんとは性格が真逆。幼いころはやんちゃで、目を離したら何をするかわからないという感じだったので、あいちゃんの小さい頃を重ね合わせつつ、てんちゃんのお世話で慌ただしい日々を過ごすことになりました。

 

 次第にてんちゃんは、あいちゃんがしていたように、父が拝殿で祝詞をあげるときは父のそばでじっとしているようになりました。

 室内飼いなので、ふだんは社務所の中のカウンターの上で寝ていることが多く、参拝者の方々と触れ合うのはガラス越しがほとんど。でも、てんちゃんを見つけるとみなさん、「かわいい!」と写真を撮っていかれます。毎日お参りにこられる方は覚えていて、足元にすりよっていってゴロンとお腹を出して甘えることも。3歳の誕生日を機に、父はてんちゃんを2代目名誉宮司に任命しました。神前ではじっと座っていないときもあるので、まだ修行中ではありますけどね(笑)

 あいちゃんが旅立った後、社務所や自宅の中はシーンとして、父との会話も少なめだったんですよ。でも、自由奔放で甘えんぼうのてんちゃんがやってくると、話が弾んで賑やかになり、参拝に来られる方々も喜んでくれています。境内横の自宅庭にはあいちゃんのお墓があり、今もお花を持ってきてくれたり、手を合わせてくださったりする方もいます。

 あいちゃんは私にべったりでしたが、てんちゃんは父のことが大好きなんです。夜も父のベッドで大の字になって一緒に寝ているので、高齢の父も幸せそう。こうして再び、猫と一緒に暮らせることに、感謝でいっぱいの日々なんです。

【施設名】「伊勢神社」
【住所】岡山市北区番町2-11-20

 

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