「他界した祖母の遺品に、パインアメの缶がありました」1通のメールから始まった70年ぶり里帰り ネット感涙「美しい話をありがとう」

竹内 章 竹内 章

古びていても持ち主が大切に使っていたことうかがえるパインアメの缶。祖母の遺品を整理中に見つかったそれは、敗戦の混乱を経て好景気を迎える昭和26~30年に生産されたものでした。パイン株式会社(大阪)の公式サイトに届いたメールから始まる素敵な物語です。

同社によると、お問い合わせフォームに届いたメールは「昨年他界した祖母の遺品を整理していたところ、パインアメの缶を見つけた」「生前の祖母は手芸のボタン入れとして大切に缶を保管していた」「捨ててしまおうかと思ったが検索するとヤフオクで落札された画像を見つけた、そのまま捨てるよりもそちらに送った方がいいか」といった相談でした。

3月23日に届いた缶に、広報担当者は驚きます。「パインアメ」「PAINAME」と記され、パイナップルやアメが描かれた缶はドットの部分がキラキラ光る仕様で、大切に扱われていたことがうかがえました。そして缶の胴部分には「業平製菓」の4文字。昭和26年創業の同社は同31年まで業平製菓を標榜。その後、同31年にパイン製菓株式会社、同56年にパイン株式会社に社名変更し、今日に至ります。

広報担当が公式アカウント(パインアメの【パイン株式会社】@pain_ame)でこのエピソードを披露すると、「じーんとしちゃった」「素敵なお話」「パインアメが更に好きになった」などと共感を呼んでいます。アカウントの中の人に聞きました。

「業平製菓時代の缶は社内にもありませんでした」

ーパインアメの歴史を語る上で貴重な史料ですね

「弊社は昭和24年にパイナップル天然果汁入穴あきキャンディを開発し、昭和26年にパインアメの商品名で発売しました。一粒1円で、当初はビンで後に缶になったと聞いています。今回、大切なものを譲っていただき本当にありがとうございます。弊社会長も喜んでおります。大切に保存させていただきます」

ー以前からリサイクルショップやネットオークションでかつて生産されたものを探し続けていたのですね

「はい。缶については以前ネットオークションでパイン株式会社になってからのものを入手したのですが、今回ご提供くださった缶の方が年代が古いのにもかかわらず本当にきれいなことに感激しています」

ー業平製菓という社名も趣があります

「弊社創業者の父が業平製菓の社名でおせんべいなどの米菓の製造販売を手掛けていた歴史があり、創業者はキャンデーの製造販売を始めた際、社名を譲り受けたと聞いています」

これまでに入手した過去の生産品は、今回の業平製菓時代の缶も含め、缶3つと瓶1つ。大阪市天王寺区の本社入口にあるショーウインドーに展示しています。パインアメの歴史を埋める貴重なピースになった今回の缶。広報担当者は引き続きさまざまな時代のビンや缶を探しています。手掛かり、心当たりのある方はパイン株式会社まで。

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