ダイちゃん(7歳・オス)は、アパートのゴミ置き場のネットに戯れていた。愛知県に住む川本さんはダイくんを見かけて気になったが、猫を保護したことがなかったのでどうしようか悩んだという。
「数時間後に娘と見に行くと、まだ同じ場所で寝ていました。抱き上げたらひどい猫風邪をひいていて目は目やにで塞がっていました。鼻や耳も真っ黒になっていて、そのまま病院に連れていきました」
処置をしてもらったが、目は開かないまま。その後も治療を継続し、去勢手術をする時に瞬膜を切開してもらって、初めて目を見ることができたという。
「左眼はすりガラス越しに見ている程度の視力で、右眼も白濁していました。でも、目が不自由でも元気に育ってくれて嬉しいです」
同じ猫なのに
川本さんは猫を飼ったことがなく、触ったことすらなかった。娘さんは中2から不登校になり、毎日一人でペットショップに通っていた。そこには、一回り大きく育った猫がいたのだが、その猫に惹かれた娘さんは、「この子がうちに来てくれたら、元気になれる」と言った。その時初めて川本さんは、猫を家族に迎えたという。
「それまでは猫に興味がなく、外にいる猫がどんな生活をしているのかなんて知らずにいました。でも、ある日、ベランダにやってきた猫が家の中をのぞいていて、初めて『うちの子はごはんの心配もなく、寒さや暑さもしのげる場所にいる。同じ猫なのに…』と悲しくなりました」
保護猫のことを知った川本さんが、初めて保護したのがダイちゃんだった。
ダイちゃんみたいな猫が欲しい
ダイちゃんを連れて帰ると、疲れたのかぐっすりと安心して眠りについた。その顔は今でも忘れられないという。その後も猫を保護し続けて、9匹になった時、「さすがにこれ以上はうちの子にできない。保護した子は譲渡しよう」と思ったそうだ。
しかし、人に懐かない猫や譲渡できずに残った猫もいて、川本家には現在14匹の猫がいる。
「10匹以上になると、流石に猫もストレスに感じることがあるようです。今は、猫も人も快適と思える環境作りをしています。でも、家には猫好きの人しか呼べません」
ダイちゃんは温厚で甘えん坊の可愛らしい猫。
「いつもどこにいても寝ています。インスタでも『ダイちゃんみたいな猫が欲しい』と言われます」