「春分の日」は天体の動きが決める祝日。「彼岸」と「二至二分」の意味とは?

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昼と夜の長さがほぼ同じになる「春分」。今年は3月21日になります。この日を境に、夏至に向けて昼の時間がどんどん長くなっていきます。
今回は、春分の日が年によって変わる理由と、「彼岸」「二至二分」についてご紹介します。


日本独自の風習。ご先祖さまを身近に感じる「彼岸」

春分の日は法律で定められた祝日で、「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日とされています。国民の祝日になる前は、「春季皇霊祭(しゅんきこうれいさい)」という国家の祭日でした。かつては、宮中で歴代天皇や皇族の神霊を祀る儀式が行われていたのです。秋分の日も同様に、「秋季皇霊祭(しゅうきこうれいさい)」という祭日でした。このような儀式は、現在も伊勢神宮をはじめ各地の神社で行われています。

先祖を供養し故人をしのぶ「彼岸」の風習は、日本独自のもの。「彼岸会(ひがんえ)」といわれる仏教行事は平安時代から記録にあり、やがて庶民の間でも先祖供養として浸透していきました。

春分、秋分を中日として、前後3日間を含めた計7日間が彼岸の時期にあたり、それぞれ「春彼岸」「秋彼岸」と呼ばれています。「向こう岸、対岸」の意味がある彼岸は、仏教では悟りの境地、極楽浄土を指します。太陽が真東から昇って真西に沈む春分と秋分は、彼岸に通じる最短の日とされ、先祖供養の風習がうまれたのです。

◆2023年の春彼岸
彼岸の入り:3月18日
中日(春分の日):3月21日
彼岸の明け:3月24日


日付が変動する祝日!「春分の日」と「秋分の日」

一般的な「国民の祝日」は毎年決まった日が定められています。一方、「春分の日」と「秋分の日」は、天文学上の「春分」と「秋分」に基づくため、年によって日付が変わります。

天文学上の春分は、太陽が黄経0度の春分点を通過した時で、秋分は太陽が黄経180度の秋分点を通過した時。地球の公転日数は365日ではなく、実際には365日5時間48分45.147秒で6時間弱のずれがあります。そのため、閏年が入っても春分、秋分の時刻が全く同じになることはないのです。

春分の時刻は少しずつ早まっており、2024年からは閏年を含む3年間は3月20日が春分の日で、次の1年は3月21日になります。2056年から2091年までは、毎年3月20日になると予想されています。秋分の日も早まっており、1980年から毎年9月23日でしたが、2012年からは4年に一度の割合で9月22日になっています。


季節の変化をあらわす重要な節目「二至二分」

天球上の太陽の通り道「黄道」を15度ずつ24等分したものが、季節を知る目安となる「二十四節気(にじゅうしせっき)」です。

季節が移り変わる「季節の節目」として特に重要な時期とされるのが、「冬至・夏至」の「二至(にし)」と「春分・秋分」の「二分(にぶん)」、合わせて「二至二分(にしにぶん)」です。 北半球では、冬至は昼がいちばん短くなる日、夏至は昼がいちばん長い日となり、季節が極まる頂点。「至」は、物事が行き着くところを意味します。「分」は、分かれ目をあらわし、春分と秋分は太陽が真東から上り真西に沈む日。二至二分は、春夏秋冬の「中気」(季節の中心)にあたる節目として重視されているのです。

黄道上で太陽の黄経が0度になるのが春分点で、この時刻を含む日が春分の日になります。太陽の黄経が90度、180度、270度になる時刻がそれぞれ、夏至、秋分、冬至にあたり、春分を起点に太陽が黄道を一周すると、春夏秋冬の季節が巡ることになるのです。


春分を境に昼が夏至に向けて長くなり、秋分を境に昼が冬至に向けて短くなる季節の変化。春分の日には、日に日に強くなる陽射しに、太陽のダイナミックな動きを感じてみてはいかがでしょうか。


参考サイト
国立天文台「春分の日・秋分の日」

画像:国立天文台

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