教員として働きながら、特別支援の現場などで得た気づきなどをイラストにしてTwitterに公開しているネコ先生さん(@nekosensei0519)。『こころのうけざら』という投稿に称賛の声が集まりました。
ネコ先生さん曰く、「子どもは生まれたときから、ひとり一人違う形の受け皿を与えられている」とのことです。なかには、それが特殊な形をしている場合もあるといいます。
例えば、受け皿が「ざる」みたいな形をしている子ども。
大人がどれだけ愛情を注いでも、それはすり抜けてしまい、受け皿の中には何も残りません。
そんな時、「あれだけ愛情を注いだのに!」と怒ったり、失望してしまったりする大人もいるでしょう。
ですが、もしかするとその愛情の形は、その子にとって受け入れられるようなものではなかった可能性もあります。
その子の受け皿や愛情の形。お互いに確かめ合っていけば、より思いを伝え合うことができるかもしれませんね。
子どもの性質によって愛情の伝わり方は違う
ネコ先生さんによると、この作品を制作したきっかけは、知り合いに子育てに関する相談を受けたことだったそうです。
「(その知り合いは)どれだけ愛を伝えても、わが子が『ねえ、私のこと好き?』と訊ねてくることに悩んでいました。どれだけ言葉を掛けても、抱きしめても、子どもからの問い掛けが止むことはありませんでした。ある日、その知人は自分の愛する思いを手紙に書いて、その子に渡します。すると、その子の問いかけはその日を境にぴたりと止んだといいます。その子はどんな場所にも手紙を持っていって、何度も何度も読み返しては、微笑むのだそうです」(ネコ先生さん)
実は、そのお子さんには、忘れっぽさと、音声言語理解の弱さがあったのです。そのため、いくら親が言葉やスキンシップで愛情を伝えても、なかなかそれを受け入れることができなかったのでした。
その子にとっての愛を確かめる術――すなわち受け止めやすい愛情の形とは、自分のペースで何度でも読み返せる「手紙」だったというわけですね。
このように、子どもの性格や生まれもった能力、特性などによって、相応しい愛情表現や思いの伝え方は変わるのです。
ネコ先生さんは、そんな子どもたちひとりひとりの「こころ」の違いについて、受け皿にたとえて説明されたのでした。
そんなネコ先生さんの漫画。ツイートのリプ欄にも、読者からの共感の声が集まっています。
「両者の思いやり、大事ですよね。送り手はどうしたら受けてもらえるか工夫する。受け手は相手をどうやって受け止めるか工夫する。なかなか上手く出来ないなあ」
「愛情の形もそれぞれ、受け皿に合う形で届けたいです」
「愛情の器ですね。愛情がためておけない子どもには、愛情要求のエスカレートがおきますから、子どもの実態に応じて、支援は違うなあと。先手の支援ですね。でもこれがなかなか難しい」
「イラスト可愛い( ˙꒳˙ )上にいつも視点が新鮮」
ひとりひとりの個性が尊重される時代。また、発達支援など、さまざまな性質をもつ子どもたちの教育についても、大きな関心が集まっています。そんな現代において、今回のネコ先生さんの漫画は、子育てにおける大切な心がけについて教えてくれています。
しかしながら、コミュニケーションや教育などについての課題があるのは、子どもだけにはとどまりません。もしかすると、大人同士の仕事や社会生活上での人間関係にも、参考になる内容かもしれませんね。
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ネコ先生さんに、今後描いてみたい作品について聞いてみたところ、次のようにお答えくださいました。
「“感情”です。子どもたちがこれから一生付き合っていく喜怒哀楽とそれ以外の感情を、描いていきたいと思っています」
■ネコ先生さんのTwitterはこちら→https://twitter.com/nekosensei0519