地下アイドルを脅かす「やっかいオタク」…スカート内を撮影、ストーカー「なんで俺じゃ嫌なの？」　現役マネージャーが実態明かす

指原莉乃さんがプロデュースする人気アイドルグループ「=LOVE」（イコールラブ）が、マナーが悪いファンに向けた注意喚起の声明を出し、話題になっています。一部熱狂的なファンからアイドルへの迷惑行為は、距離感が近い「地下アイドル」でも深刻化しがち。

大阪を拠点に活動するとある地下アイドルグループの男性マネージャーが、一部ファンによる非常識な行動の実態を教えてくれました。

「付き合おう」「俺じゃ嫌なの」スタッフもメッセージ確認

―距離感が近い地下アイドルならではの危険もあるのでは

「もしかしたら付き合えるかも」と勘違いしてしまうファンは多い傾向にあると思います。一度あったのは、30代ぐらいの男性だったかな。1人のメンバーに「ガチ恋」（本気の恋）してしまって。インスタグラムのダイレクトメッセージ（DM）などで「付き合おう」「なんで俺じゃ嫌なの」といったメッセージを執拗に送るようになったんです。さらに、ライブ後の特典会（インスタントカメラでメンバーとのツーショットを撮れる撮影会）でも、ぎりぎりまで体を近づけるなど行動がエスカレートしてきて、メンバーもおびえていました。スタッフで情報を共有し、常に目を光らせて注意していました。

 ―SNSのメッセージは運営スタッフも目を通しているのか

もちろんです。自分とアイドルだけの世界だと思ってやり取りしている人もいますが、僕たちも確認しています。きちんと明記しているんですけどね。前述の30代男性には、ライブ会場で、気持ち悪い文面のDMの画面を見せながら「これ送っているのお客さんですよね」と僕からきつく注意したらそれ以来顔を出さなくなり、メッセージもなくなりました。こういう人を業界では「やっかいオタク」と呼びます。ブラックリストまでは作っていませんが、要注意人物の情報はスタッフで知らせ合っています。

 スカートの中を狙った撮影、つきまといも

―迷惑行為は注意すればやめるものでしょうか

場合によりますね。グループ発足当初、客席の最前列で一眼レフカメラなどを下から構えて、スカートの中を撮ろうとする「ローアングル撮影」をしようとする人がちらほらいました。メンバーは衣装の下にインナーを穿いているので、よほどのことがないと下着は見えないんですが、それでも撮ろうとするんです。特にステージと客席の段差が大きい会場ほど下から撮りやすいからか、多かった印象があります。僕は行為を見つけたらライブ中でもすぐ飛んで行って、カメラを手で抑えて厳しく注意していました。それを繰り返しているうちに最近ではなくなりました。

一方、つきまとい行為をする一部の人はなかなかやめない印象があります。ライブ終わりに帰宅するメンバーの後をつけようとするので、終演から時間がたっているのに会場周辺に残っているファンには声をかけるようにしています。でも「他の人と待ち合わせしている」などと言われるとそれ以上は言えず…正直難しい。帰り道はスタッフが同行するなどして対応しています。身の安全にかかわることなので、今後ひどいケースが出てくれば警察に相談するつもりです。すでにライブやイベントから出禁（出入り禁止）にさせてもらったファンも何人かいます。

 「なぜ俺だけを見てくれないんだ」

―自意識過剰な行動をしてしまうファンの心理は

「俺はこんなにお金も時間もかけて推しているのに」という感情かなと。最初は純粋に好きな気持ちで応援していたはずが、いつの間にか「なぜ俺だけを見てくれないんだ」「俺以外のファンにいい顔をするな」という感情に変わってしまう人がいる。同じメンバーを推している他のファンを蹴落とすつもりなのか、マネージャーである僕に向かってしきりに「あいつはAちゃんにこんなマナー違反をしていた」「こんなことを言っていた」とマイナスな情報を伝えてくる人もいます。僕はそういうのは全く聞き入れないようにしていますけど。たいてい、メンバー本人に確認したら全くのウソだったりします。

あと、ライブ中にメンバーからのレスポンス（手を振るなどの反応）を欲しがるあまり、メンバーの立ち位置が変わるたびにその前まで走って移動する人もいました。あまりに危険だったので、出禁にしました。

 ―迷惑行為をする人はどういう年代が多いか

僕の主観になりますけど、おじさん世代のファンは「活躍してほしい」「上に行ってほしい」という純粋な気持ちで応援してくれている人ばかりです。逆に20、30代とか若い世代の方が、プライベートで連絡したり会ったりする「繋がり行為」を変に期待して、よくない方向に走っていく傾向があるのかなと。別に迷惑行為さえしなければ、ガチ恋自体は「無謀な期待をしてかわいいもんだな、若いなあ」ぐらいの感覚なんですけどね。

 せっかくお金も時間もかけているのに…「もったいない」

―「=LOVE」は迷惑行為者へ注意喚起しました

実際うちでも泥酔してライブ中にアイドルに絡んだり、ファン同士で揉めたりした事例がありました。何より、有名グループがこういう発表をしてくれるのはありがたいなと。アイドルを好きな人でイコラブを知らない人はいないので、現時点で迷惑行為をしているファンもこの発表を目にすることになると思います。「自分も普段よくないことをしているかもしれない」と自覚するきっかけになればいいなと思います。

 ―アイドルファンに伝えたいことは

迷惑なファンの存在は、アイドルの大きな精神的負担になっています。苦手なファンが会場に来ているのを知って「ステージに立つのが怖い」と足がすくんでしまっているメンバーの姿も見たことがあります。ほとんどのファンは純粋に応援してくれており、一部でこういうことがあるのは残念です。せっかくお金も時間もかけて応援してくださっているわけなので、楽しく応援してほしいなと。チケットやグッズ、チェキ、遠征費…相当なお金がかかっているのに、もったいないじゃないですか。アイドルも純粋に応援してくれるファンを大切にしたいと思っているし、結局そういうファンの存在が印象に残るものです。