最強ステータスの弁護士、意外に稼げない? お金につながる国家資格ベスト3 弁理士、税理士、もう一つは

松田 義人 松田 義人

 

不安定な経済情勢が続きます。賃金引き上げのニュースも報じられていますが、そもそも企業の業績が上向かない限り、期待薄と思う人は多いのではないでしょうか。ジョブ型などの合理的な働き方も広まりつつあり「勤務先企業に依存するのではなく、自分自身が資本にならなければいけない」といった考え方も浸透しています。

そこであらためて注目されているのが「資格」。言わずもがな「有する人のスキル」を証明するもので、前述の「自分自身が資本になる」ことを踏まえると、今後はよりニーズが高まってきそうです。資格の中身は様々です。資格取得後、その業態で実際に仕事をしてみないことには、稼げる資格なのか、見極められません。ならば、『資格を稼ぎに変える 最高の勉強法』臼井由妃・著(明日香出版社)を参考にしてはいかがでしょうか。

 

タイトルは「勉強法」とありますが、内容は堅苦しくありません。資格に対する意識付けや心構え、「今の時代」を生き抜くための資格の必要性を説いた内容が中心です。同書の「『仕事力』に直結する資格」について紹介します。

まずは「興味と欲を持てる」資格を

「実際に資格を取っても、仕事が少ない」となれば、意味をなしません。資格を取って仕事につなげるのであれば、より手っ取り早く取得でき、さらに手堅く稼げるものが良いでしょう。同書は「読者が実は一番知りたい話」も収録されています。特に興味深いのが第2章の「『仕事力』に直結する資格はこれだ」です。 

■資格の選び方

・話題になっているから、周囲に学んでいる人がいるから、稼げそうな資格だから、というような安易な理由で選ぶのはおすすめしません。<中略>まずは自分の興味と欲が持てる分野を選ぶことが大切です。

・資格には大きく分けて「国家資格」と「民間資格」があります。もう少し細かく分けると「公的資格」というものもあるので、3種類と言えるでしょう。なかでも「国家資格」は法律によって定められていることから、もっとも権威があり信頼性も高いものです。<中略>現在の仕事と関係があるとか、学生時代にちょっと学んだことがあるなど、「馴染みがある分野」の国家資格を選んでみましょう。

・お客様のニーズをしっかりとらえたマーケティングや集客をすれば、資格の難易度に関わらず売り上げを上げることができます。「資格取得の勉強に手一杯だった」「もともと営業やマーケティングは苦手」というようなスタンスでは、稼ぐことは当然できません。その点は覚悟のうえで、勉強をスタートする必要があります。

 

意外と稼げない弁護士

本書では、著者の解説による、様々な資格の中身も紹介されています。まず印象深いのが「お金につながる国家資格ベスト3」です。

■お金につながる国家資格ベスト3

【宅地建物取引士】
宅地建物取引士は、不動産取引の専門家です。不動産売買で、専門知識のない顧客が不利な契約を結ばされないように、専門的な見地から助言を行います。不動産業界はもちろん、住宅ローンを取り扱う金融業界でも役に立ちます。また宅地建物取引士は法律系の資格の基本になるため、本資格の合格を皮切りに行政書士、司法書士、弁護士等に「ステップアップする方も多い人気の資格です。

【税理士】
税理士の独占業務は、「税務代行」「税務書類の作成」「税務相談」です。税務代行は、クライアントから税務代理の書類をもらったうえで、税務署に対する税金の申告作業を行います。<中略>「コンサルティング業務」として、記帳作業や試算表・決算書類の作成など経営面でのアドバイスもあげられます。難関資格ではありますが、時代に即して企業の運営方針に助言を行ったり、フリーランスで働く人が増えていますので、ますます需要が高まっている資格です。

【弁理士】
弁理士は「知的財産」の専門家です。<中略>「知的財産権」とは、著作権や実用新案権、意匠権、商標権などです。<中略>最難関な資格ですが、受験資格がないので、学ぶ意欲と勉強のコツをつかめば、年齢を問わず合格することができます。今は個人でも著作権や肖像権など知的財産権に関わる場面がたくさんあります。<中略>「知的財産権」の認知は広がる一方ですから、弁理士は需要が落ちない資格と言えるでしょう。

ちなみに、本書では「難関資格イコール『稼げる資格』ではない」として、その代表として弁護士資格についても紹介しています。

【「難関資格イコール『稼げる資格』ではない」弁護士】
国家資格の最難関である弁護士資格は、はたして「稼げる資格」なのでしょうか。もしかすると、「弁護士報酬は高いから、年収1000万円くらいは余裕で稼げる」と考える人が多いかもしれませんね。しかし現実は厳しいものです。<中略>運よく弁護士事務所に所属できた弁護士は、一般的な社員と同程度の給与ですが、顧問先を持たずに開業した弁護士は、弁護活動だけで生活していくことができず、アルバイトでしのいでいる人もいます。最難関、最強のステータスを誇る国家資格である弁護士でもこんな状況ですから、「資格があるから黙っていてもお客様が来るとは限らない!」ということは理解できたでしょう。

ニーズが高まる資格は?

また、著者は「これからニーズが高まっていくであろう」ことから、下記の資格についてもその利点について細やかに解説しています。

 【「活躍のフィールドが無限に広がる資格」行政書士】
行政書士は、法律問題の許認可手続きや、行政に関わる法律全般のコンサルティングなどを行う資格です。<中略>かつては書類の手続きをする「代書屋」のイメージが強かったのですが、情報化時代、コンピュータ社会の今では、「行政全般のコンサルタント」の役割が大きくなっています。

【「需要急上昇の万能資格」社会保険労務士】
社会保険労務士は、どんな企業でも必要とされる社会保険、労務保険の事務を含む人事、労務管理のエキスパートです。<中略>年俸制の導入や早期退職制度、副業を認める企業の増加、コロナ禍に伴う失業など雇用を取り巻く環境が複雑化・多様化する現状では、社会保険労務士の需要は拡大する一方です。

【「人材育成、採用活動で重視される」ITパスポート】
ITパスポートは、ITを利用・活用するすべての社会人をはじめ、これから社会人になる学生が備えておくべき、ITに関する基礎的な知識が証明できる国家資格です。<中略>ビジネスのグローバル化が進み、ITの高度化はますます加速しますから、この分野の知識を持った人材は今後も強く求められるでしょう。

【「自己責任時代の強い味方」FP(ファイナンシャル・プランナー)】
FP(ファイナンシャル・プランナー)は、今注目を集めている国家資格で、お金に関する幅広い知識を有した「専門家」です。<中略>潜在的にライフプランニングを必要としている顧客は大勢います。ファイナンシャル・プランナーのライフプランニングという仕事の認知度は年々上昇していますから、顧客開拓の難易度も下がり、「稼ぎやすい資格」になってきたと言えるでしょう。

資格を活かすことで、いかに自分らしく生きるか

同書は「これから資格を得よう」と思っている人は勇気づけられるでしょう。担当編集者によれば、「いかにお金や時間をかけず一発合格をし、それを素早く稼ぎに換えるか」にこだわったとのこと。詳しく聞いてみました。

「業種によっては雇用や賃金に強い不安感・不安定感が漂っています。そこで、手に職をつけたいという意向を持つ人が増えたと仮定し、社会人の学び直し(リスキリング)を推奨する世相も踏まえて企画しました。

著者は国家試験を複数保有(栄養士、宅建士、行政書士)するほか、民間資格も多数保有し、それをもとに実際『稼ぎ』に変えている実績をお持ちです。取得した資格をもとに専門の事務所を開くというよくある道もありですが、執筆業や講演業など、幅広く展開する方法も語れることから、『資格をどう活用したらいいか』の幅が広いのが特長です。

本書では『いかにお金や時間をかけず一発合格をし、それを素早く稼ぎに変えるか』を徹底し制作しました。一般的な勉強法というよりは、『忙しい社会人のための勉強法』に特化しているのが特長です」(担当編集者)

また、本書には、ジョブ型などに代表される「会社組織に依存しない働き方」に対する応援も多く綴られており、背中を押してくれるようなメッセージも多くあります。

「先が見えない世の中で、まだまだ資格は有効なツールです。『資格を活かすことで、いかに自分らしく生きるか』といった、これからの新しい働き方、ライフスタイルを提案しているのが本書の特長でもあります。『会社や組織を離れたところで、自分は何ができるのか?』『自分の<売り物>は何なのか?』本書から、経済的自由と精神的自由を手に入れる『お金になる勉強法』をぜひ取り入れてみてください」(担当編集者)

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