真っ白ワンコの保護犬・ワキ。比較的穏やかな性格のワンコですが、保護前の状況のトラウマからでしょうか、かなりの怖がりで、なかなか人間に心を開いてくれません。人間からの注目が自分に向くと、すぐに察知してビビって犬舎の奥のほうに入って出てこなくなってしまう、最高難度の警戒心を持っていました。
保護犬を支えるスタッフ以外の「散歩ボランティア」
ワキが過ごしていたのは、ピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)という団体。譲渡活動などを通じて、保護犬の「殺処分ゼロ」の実現を目指している団体です。団体で保護犬を支えているのはスタッフの方だけではありません。
里親を希望されていたり、里親にはなれなくても「保護犬と関わりたい」と各地の譲渡センターを訪れられるボランティアの人たちも心強い存在です。後にワキの里親さんになられた女性も当初は「散歩ボランティア」としてピースワンコに来るようになりました。
毎週センターに通った「散歩ボランティア」の女性
この女性は、ピースワンコのホームページで里親を募集をしていたワキの写真を見て「かわいい」と一目惚れ。「すぐにでも里親になりたい!」と思いながら、すぐには引き取れない事情がありました。
しかし、どうしても諦めきれず福山譲渡センターを訪問。初対面でもワキはあまりの警戒心から、犬舎の奥のほうにいってしまい、出てくれなくなってしまいました。ワキの警戒した表情は、写真で見たものと印象がまるで違いましたが、女性は諦めませんでした。
同時に、もしも別の方とご縁があれば、ワキにとっては幸せなことなのでそれでいいし、「見つかるまでの間だけでもワキと一緒にいたい」と、その翌日から「散歩ボランティア」としてピースワンコに参加することに。以来、毎週福山譲渡センターに通うことになりました。
約1年半の月日を経て、やっとワキが心を開いてくれた!
毎週「散歩ボランティア」として福山譲渡センターに訪れる女性でしたが、依然としてワキは心を開いてくれません。女性が、あえて「ワキに興味がない」素振りを見せると、静かに寄ってくることがありましたが、女性のほうから少しでもワキのほうに近寄ろうとすると、途端に逃げ出す始末。
このため、女性はまず数カ月間は、ワキの前では「知らんぷり」を続けることにしました。その際、ワキは自分のペースで女性に近寄ってきたときは、好きなだけ匂いをかがせてあげました。女性は「我慢比べみたいな感じだった」と、当時を振り返り笑いながら話します。
ワキのペースを最優先にし、ワキが心を開いてくれるまで粘り強く待ち続けたことで、次第にワキは心を開き、最終的にはこの女性が新しい里親になりました。ここまでの期間、ゆうに約1年半。かなりの時間を費やしましたが、怖がりのワキの性格を理解し、そのペースを最優先に考えてくれる最高の里親さんに迎え入れられることになりました。
打って変わって女性にベッタリになったワキ
女性の家に迎え入れられ、見事第2の犬生をおくることになったワキですが、当初の怖がりぶりはいっさいなくなりました。むしろ、打って変わって女性が行くところへどこでも付いてまわるほど、ベッタリの甘えん坊さんになりました。
また、女性の旦那さんがお風呂に入ったときも「いなくなったんじゃないか」と心配そうな素振りを見せるほどで、言い換えれば、ワキ自身が「この家の一員で居続けたい」「だからこそどこにも行かないで」と思っているようにも見受けられます。
そんなワキを前に「いつか一緒にキャンプや海へ行きたい」と話される旦那さん。女性もその言葉に同調しながらも、何よりも「そのまま、健康で長生きしてくれたらいい」と優しく笑います。このような豊かで深い愛に包まれ、ワキは今、のんびりと新たな犬生を生きています。
ピースワンコでは、サポート企業のyogiboと共に「保護犬が、ゆるんでいく」プロジェクトというものを実施しています。このプロジェクトは「人に懐かない」という印象を持たれやすい保護犬でも、トレーニングなどを通じて、人との信頼関係を結ぶことで、リラックスした表情を見せ共に暮らしていけることを多くの人たちに理解してもらうためのもの。
他のワンコの情報とともにワキの様子もプロジェクトのサイトで見ることができます。ぜひ、チェックしてみてください。
ピースワンコ・ジャパン+yogibo「保護犬が、ゆるんでいく」プロジェクト