ツイッターであるプレゼントを受け取ったという何気ない投稿が、2.3万いいねがつくほど話題を呼んでいます。
「とあるお祝いで『半導タイ』をいただいた!! めちゃめちゃ嬉しい涙」受け取ったのは、半導体!? いいえ、半導「タイ」です!
写真に映っているのは、基板をイメージしたネクタイ。職業がエンジニアである投稿者のリソグラフィエンジニアの戯言(@ProbablyClass1)さんはこのプレゼントに感激し、ツイッターにアップしたところ瞬く間に拡散されました。
投稿者に聞いた
ーー粋なプレゼントですね
「私の専門分野(半導体製造)を知っての選定でした。なかなか仲間にも会えない昨今、プレゼントやりとりする機会も少ないですし、シンプルに嬉しかったです」
ーーエンジニアからするとテンションが上がる?
「ネクタイの品質自体が素晴らしいこともありますが、デザインも半導体に携わる者として『わかってるなー!』と琴線に触れるもので、非常にテンション上がります。
このモチーフは正確には回路基板、プリント基板というのですが、回路設計も所謂デザインですし、ツイートで反応くださった半導体業界の方々の反応もいいものばかりです。ネクタイとやや縁がないエンジニアの世界、というのも良いギャップの一役だったかもしれません」
ーー周囲からのリアクションは?
「まだ一昨日いただいたばかりですのでリアルな反応はまだですが、おそらくはネクタイをする方も減少傾向の中、ツイートの反応がほとんどが『これ欲しい』『これプレゼントにしたい』だったのが新鮮です」
半導タイを販売するのは、紳士洋品メーカー・銀座田屋(本店:東京都中央区)。サイトを見てみると、同商品は「サイエンスタイ」シリーズのひとつだそう。
ほかにもπ=3.14…と円周率をデザインしたもの、水玉柄の中に素数が散りばめられたものなど、理系はグッとくるであろうデザインが多数。糸で織られた緻密なデザインには思わずため息が出ます。半導タイをデザインしたのは半世紀近くも田屋でデザイナーを務める佐藤由記也さんです。佐藤さんにお話を聞きました。
ネクタイになぜサイエンス?担当者に聞いた
ーー半導タイが話題です
「大きな反響に驚いています。田屋はテーマを持ってネクタイを作っていて、特にサイエンスタイシリーズは好評をいただいているので、話題にしてもらったのもその一環かなと」
ーー同シリーズはユニークなデザインが多いですね
「シリーズ自体が10年くらい前に生まれたもので、当時、店舗から数学的なモチーフを提案されたんです。調べてみると、物理や方程式などはデザインとしても面白そうだなと、製品化に至りました。半導体は世界中で話題になっていることもあり、社内で検討した結果、発売しました」
ーーデザインするのは難しかったのでは
「既存の半導体はもちろん使えないですし、やみくもにデザインしてもいけない。私は美大出身でその分野に詳しくないので、基礎から分かる本で半導体について簡単に学びました。シリーズのほかのネクタイも同じで、細かいところも見てくださる方が多いので、間違いが無いよう気を付けています。これが結構難しくて(苦笑)」
ーーほかにもいろいろなテーマがありますね
「書籍、お酒、乗り物、十二支など、たくさんありますし、定期的に新しいデザインを追加しています。田屋は自社工房を持っており、すべてオリジナルで企画から製造まで自社でおこなっています」
ーーオリジナルですか
「過去には年に2、3回、仕事でイタリアやフランスに行っていました。色々なデザインに触れ、流行があるなかで、『オリジナル』がないと世界では勝負できないと感じたんです。
ネクタイのデザインにはプリントと織りがあるのですが、田屋のネクタイは90%以上が織ったものです。プリントはデザインに自由が利きますが、織りは機械の特性で様々な制限があります。でも、織りでプリントに負けない、それ以上のものを作る、流行よりもオリジナリティをということをポリシーにやってきました。そのおかげか、日本に来られる海外の方にも評価していただけるようになってきました」
ーー半導タイなどの人気商品もそのポリシーがあったからこそ生まれたんですね
「そうかもしれませんね。弊社はお客様に楽しく胸元を彩っていただくことを念頭に仕事をしています。これからも色々なデザインを出していきますので、楽しんでいただければうれしいです」
◇ ◇
ユニークなデザインのサイエンスタイシリーズ。半導タイは現在、田屋の通販サイトで完売していますが、再入荷リクエストが多く届いていることもあり「(再販に向け)現在稼働中です」とのこと。エンジニアの方へのプレゼントで迷われている方、いかがでしょうか。