真夜中のガラス戸に移った影→犬の愛情の証だった 「最高なシルエット!」「ワンコの恩返しですね」

谷町 邦子 谷町 邦子

暗闇のなかガラス戸に照らし出された、影絵のような犬の横顔が話題に。いったいどういった状況で撮られた写真なのか。飼い主さんに尋ねたところ、健気なエピソードが判明しました。

飼い主である星宿(@seisyukusan)さんは、「起きてきた…」いうコメントと一緒に写真をツイッターで投稿。寝ていた犬がわざわざ起きてきて、ガラス戸の向こうからこちらをうかがっているような様子に、「なんてかわいい影!」「最高なシルエット! 可愛すぎます」「思わず笑ってしまったww シルエットww」など微笑ましく感じた人からの声が多数寄せられています。

イマジネーションが刺激されるようで、「日本昔話の鶴の恩返しを思い出してしまいました。かわいい」「わんこの恩返しですね、覗くのは厳禁です」「必殺仕事人 みたいですね」「仕事人のBGM流れそうw」と、「鶴の恩返し」やTV時代劇「必殺仕事人」シリーズなどをイメージする人もいました。

多くの人が想像を巡らせたこの場面は、どのような状況なのか? 推定15歳のおじいさん犬のムックくんについて、星宿さんに聞きました。

飼い主さんがいるのを確認せずにはいられない、おじいワン

――写真はどんな状況なのですか。

「自分の寝床のある部屋から廊下に出て、私がいる居間の様子をうかがっています。廊下には夜中に喉が渇いたらいつでも飲めるようにムックの水が置いてあり、そこに取り付けたセンサーライトが点いたために居間側から見るとこのような影が映りました」

――この後、ムックくんはどうなったのですか?

「私がいる気配を感じて安心したのか、すぐに寝床のある隣室に戻って行きました。なお、この行動は私がお風呂に入るために居間を出るまで数回繰り返します。ほぼ毎晩の恒例になっています」

――星宿さんのことが気になるんですね。ムックくんの性格について教えてください。

「見た目は大きくて強そうですが、臆病で甘ったれだと思います。子犬の頃からおとなしくてほとんど吠えませんでした。お散歩よりも家の中で人間と一緒にまったり過ごすのが好きなようです。最近は年をとったせいか、ますますお昼寝の時間も増えてインドア派になりました」

犬を飼いたい人に伝えたいこと…「最後まで投げ出さない」「不妊手術を受けさせる」

ー-推定15歳のムックくんが星宿さんの家にやってきたのは2021年6月だそうですが、経緯を教えてもらえますか。

「ムックは、以前から親戚の様に親しくお付き合いさせていただいていた高齢のご夫婦が、諸事情あって飼えなくなった他の家から子犬の時に引き取った犬でした。連れて来た当初は散歩に連れて行ける人もいなくて困っていたため、私が自分から提案してお散歩に連れて行くようになりました。

先に旦那さんが亡くなり、数年後から徐々に奥さんの方も体調が悪くなりました。一昨年とうとう介護施設に入所したのですが、その半年ほど前から既に飼育困難な状態だったので離れて暮らしている親族の方と何度か話をして私の家に迎えた次第です」

ー-ツイッターで「犬を迎えたいと思ったらまず、自分以外の家族の協力と10年以上続く世話、医療費負担(高額です)に関する全てがOKかどうか考えて下さいね」と投稿されていました。心構えについて教えてもらえますか。

「最後まで投げ出さない、不妊手術を受けさせる、です。

今はあり得ませんが数十年前は行政でも飼えなくなった犬と猫を決まった日に引き取っていました。そんな時代から比べたら今は随分良くなりましたが、まだまだ無責任な飼い主が多いように思います。不幸な捨て犬捨て猫が少しでも減るように、雄雌問わず不妊手術は必要なのではないでしょうか。

ムックは『雄だから子犬を生まない』という理由で未去勢でした。そのせいなのか未去勢の雄に多いと言われる肛門周囲腺腫という腫瘍が出来てしまいました。引き取った当初、大きくなって化膿してしまっていたので獣医さんに連れて行き全身麻酔で手術しましたが、残念な事に取り切れませんでした。

今でも時々自壊して膿が出てしまうので、そのたびに切開して処置してもらっています。高齢なのでもう麻酔がかけられないので、大きな手術が出来ないのです。腫瘍は良性ですが痛い思いを何度もして、とても可哀そうです。

不妊手術は病気を予防する為にも必要だと思いました。たとえ雄でもです。幸いな事に、そんな持病があってもムックは非常に元気です」

◇ ◇

子犬の頃に最初の飼い主さんと離れ、次の飼い主さんも高齢になってしまったため、星宿さんの家にたどり着いたムックくん。これまで3つの家を渡り歩くことになってしまいましたが、星宿さんをはじめ、人間が好きなことが写真からもインタビューからも伝わってきます。子犬の頃から愛情を注ぎ続けてくれる人がいるからなのではないでしょうか。

冒頭の写真の投稿について、「目にとめてくださった方々には感謝の気持ちしかありません。これからも細々と呟いてゆきますのでムックをよろしくおねがいします★」と言う星宿さん。ムックくんが穏やかに年を重ねる姿が、この先もずっと見られるといいですね。

■星宿(@seisyukusan)さんのTwitter https://twitter.com/seisyukusan

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