SNSで微笑を誘っているハッシュタグ#小さい頃勘違いしてたやつ選手権。Twitterユーザーで北海道の鞭職人、鞭匠 初代 桃太郎さん(@momowhips)さんの投稿に注目です。「このドアの向こうにいるハロゲンバケモノがもう怖くて怖くて。」と公開した写真は、黄色の看板に「ここにはハロゲン化物(ハロン1301)消火設備を設けています」と書かれた表示板。じーっと画像を見ていると…いるっ、逃げなきゃ、扉の向こうにハロゲンバケモノがいる!
ハロゲン化物の漢字部分をバケモノと呼んでいたユーザーは、鞭匠 初代 桃太郎さん以外にもいたようで「これ!わかる!同じ!!」という賛同のコメントも。さらにホラー映画のような展開を期待したのか、「緊急放送が流れて職員が全員退避するなか轟音と共に扉が向こうから殴られて変形していく」「扉の向こうには隔離された化け物」「バイオハザードのクリーチャーっぽいのが出てきそう」と次の展開を占うユーザーもいます。お願いだからみんな逃げて…。鞭匠 初代 桃太郎さんに聞きました。
ーハロゲンバケモノはどんな怪物ですか
「母親によると、幼少のころの僕は大きな商業施設に行くと、すぐどこかに行ってしまう子どもだったそうです。僕自身は商業施設の非常階段の雰囲気が好きでいつもその辺をうろうろしていたのですが、その際に見たこの看板になんとも嫌なぞっとする気持ちになりました。扉の向こうには、緑色のヌメヌメした化物がいると信じていました」
ーその後は
「さすがに中学生になるころには、読み違えはしませんでしたが、それでも大人になって仕事で商業施設のサーバー室などでこの表示になんとも言えないぞーっとした気になりました。幼少の頃の記憶はいつまでも付いて回るものですね」
そもそもハロゲン化物とは
話題になったこのツイートには、消防用設備等の施工・点検を行う青木防災株式会社(大阪市)の公式も反応。「そんな怖いバケモノの取扱い(設計・施工およびメンテナンス等)は消防法に基づく国家資格である消防設備士3類の免許を持った消防設備士の集団である我々にお任せ下さい!」と力強くつぶやいています。
ガス系消火設備には大きく分けて、不活性ガス消火設備とハロゲン化物消火設備があります。前者は酸素濃度を低下させることで消火するものです。2021年4月には東京・新宿のマンション地下駐車場で、二酸化炭素の消火設備が誤作動するという不幸な事故がありました。
一般社団法人東京防災設備保守協会のサイトによると、後者のハロゲン化物消火設備の消火原理は、燃焼の連鎖反応を抑制する負触媒効果によるもので、消火剤にはハロン1301、1211、2402の他、2001年にオゾン層を破壊しない2種類の消火剤(HFC-23、HFC-227ea)が追加されました。もともと航空機搭載用として開発されたものであり、重量容積が小さくても単位容積当たりの消火力が大きいため、油火災に使用されるほか、耐電性・耐金属腐食性が大きいことから、通電中の電気機器や電算機にも使用されます。また、揮発性も大きく、放射後に汚損を残さないことから、図書、重要美術品等の火災にも適応します。
ハロン1301、1211、2402については、オゾン層破壊のため1994年から生産は全廃されました。その後、生産済みのハロンはデータベース化され、不要となった場合は回収されており、大気へ放出されることが抑制されています。既設設備へ再利用されているととともに、ハロン1301については、クリティカルユース(必要最小限の使用)と判断された部分への新設が認められています。
鞭匠 初代 桃太郎さんは「青木防災さんの解説のおかげで、ハロゲン化物を学ぶ機会をいただきました。このバケモノが水没被害を出さないこと、現在新規製造はできず回収して再利用されていることなど知ることができたのでもう怖くありません!」と話しています。
鞭匠 初代 桃太郎さんの公式サイトはこちら→http://momomuti.com/