ペットを飼うと何かとお金がかかりますが、なかでもダントツなのが医療費ですね。民間の動物用健康保険もありますが、加入していなければ10割負担で、検査しただけでも万札が飛んでいくことがあります。
漫画家の牧利江子@コミックエッセイストさん(@toriatamaxp)の猫も病気にかかってしまい、大変だったそうです。「#今年1番贅沢をしたこと」というハッシュタグを付けて、「猫の闘病でドバドバお金が出ていった。『最期だからできる事はやってやろう』と思って食べてくれそうな缶詰なども色々取り寄せたら、なんかお好みにヒットしたらしく、食欲出てそのまま数値改善して蘇った挙句、ムチムチに太った」とツイート。そこには気持ち良さそうに伸びをする猫の動画がありました。
この投稿を見た人からは、
「うちの犬もそういう時期があり、やはりムチムチになりました。元気が1番ですね!」
「うちの猫いきなりふらつき歩いても転ぶ、病院で脳に腫瘍が…と言われましたが、新しい里子が来てすぐに元気になりました。もともと母性が強い猫だったんですが、いきなり元気になりびっくりでした」「価値のある贅沢ですね」
というリプライが寄せられ、動画再生回数15.7万回、「いいね」は1.8万件にもなりました。
投稿主にお話を聞きました。
ーー猫の名前と年齢を教えてください。
「ビーちゃんは2012年春生まれ、10歳の女の子です」
ーー腎臓病になったのですか。
「ある日突然朝から繰り返し嘔吐し、毛玉の吐き癖がある子だったので、お世話になっているの動物病院で診てもらいました。午後休診だったので、翌朝行きました。血液検査をしたら『腎不全の最終局面』だと分かりました。吐き気があり、食事はもちろん水も飲めない状態でした」
ーー治療や検査、療法食には相当お金がかかりましたか。
「猫が長寿だと亡くなる前に腎不全になると覚悟していたので、治療費についてはうっすらシミュレーションしていました。獣医師さんにも初日に、『効果の薄い、高額な治療はできない』と相談しました。獣医師さんも最近ご自宅で飼い猫を腎不全で見送ったそうで、不必要な治療はしないという私の方針を理解してくれました」
ーー不必要な治療は、苦しませることにもなりますね。
「そうは言いつつ取り乱して、やれることはなんでもやりたくなるんだろうな…と、内心思っていました」
ーー入院したのですか。
「すぐに入院させたほうがいい数値だったのですが、飼い主以外の人間だと隠れてしまう性格と負担を考え、通院で点滴をすることになりました。急性腎炎だったら数値が改善するはずと言われていたのですが、数回の点滴にも全く反応せず、これは腎臓がかなり壊れてしまっているなと思いました」
ーー食べられるようになりましたか。
「好きなものは気の向いたときなら少し口にする様子がありました。獣医師さんも、『猫ちゃんがんばってくれています』と言っていました。でも、だんだん食べなくなって弱っていき、いつ心臓が止まっても不思議はない状態になり、水も飲まず排便もしないのを通院の補液注射で長らえさせている状態でした。先生からも『看取り』や『最後の痙攣の対応』という言葉が出る状況でした」
ーー好みの缶フードが見つかったのですか。
「強制給餌は、ストレスを与えることで亡くなる可能性もあったので様子見をしていました。ですが、ある日気分の良さそうな日があり、久々に排便もできたので、『やるなら今日だな』と、買ってあったシリンジで、『ヒルズ犬猫用a/d回復期ケア』というレバーペースト風の缶詰を口に押し込んでみたのです」
ーー食べましたか。
「最初は嫌がっていましたが、少量、短時間と決めて、毎日同じ時間にチャレンジするうちに口の周りを舐めだし、私の指まで舐め始めました。気に入っているようだったのでお皿で出すようにしたのですが、リンの数値が上がるので、腎臓ケアの療法食や病院でサンプルをもらったカリカリフードなど色々試しました。だんだん気の向いた食べ物を食べるようになり、ささみやたらのゆでてすりおろした物も食べ、あっという間に回復しました」
ーー食べたら寛解したのですか。
「便が出た強制給餌のその日を境にぐんぐん回復しました。食べ始めて一週間後に血液検査をしたら、初めて数値改善が目に見えました。先生も驚いていました。現在はさらに改善し、『今後は長生きを視野にいれましょう』と言っていただけました」
ーー体重コントロールも大変ですね。
「同居の弟猫が食べることへの執着が強く、ずっと食事制限をしています。シニアは肥満は病気の元なので、きちんとコントロールしてあげないと。ちょっと今体重オーバー気味で、今後どう引き締めればいいのか。猫を悲しませてでも多少厳しくするべきか…悩ましいところです」
ーーこれからもできることはしてあげますか。
「精一杯やっても必ず飼い主は後悔すると、いろいろな方から聞きました。今回私がものすごく動揺してしまい、猫ファーストではなかった気がします。ビーも、気が立っているお母さんより、穏やかなお母さんにそばにいてほしいんだろうなと思いました。ただ、食べるのが楽しみなはずの猫が、『食べることが苦痛、でもお母さんが励ますから食べなきゃ』となったのは悲しかった。七夕の短冊にも『たった一日でもいいのでごはん美味しいなと思ってほしい』と書きました。最後までごはんを喜んで食べてくれたらいいなと思います」