粗悪品出回るコロナの簡易抗原検査キット 「陽性は信じていい」「でも陰性は信じるな」医師が指摘

ドクター備忘録

松本 浩彦 松本 浩彦

 新型コロナの抗原定性検査キットが薬局で簡単に買えます。政府も家庭に常備しなさいと言ってます。ところがここで問題になっているのが「粗悪品」です。認可を受けていない、いわゆるパッチモンが安値で売られているから無闇(むやみ)に信用してはダメだと、これまたマスコミが騒いでます。

 みなさんが薬局で簡易抗原検査キットを購入する際、それが本当に正規の認定品なのか粗悪品なのか、見分けるのはまず無理です。海外の悪徳メーカーだと、認可を受けていなくても「厚労省認可取得」などと嘘の文言を平気で書きます。薬局の人でも見分けはつきません。高ければ良くて、安いのは粗悪品とも言えません。高い値段をつけて、さも高品質に見せる、悪徳業者の常套手段です。

 見分け方の説明は私にも無理ですが、ひとつだけ言えることがあります。「陽性は信じてもいいけど、陰性は信じるな!!」です。検査には「感度」と「特異度」という判定基準があり、感度が高いと、陰性を間違いなく陰性と判断する能力が高く、特異度が高ければ、陽性を陽性だと確実に認識できる、そう考えて下さい。

 精度の良い検査、例えばPCRは感度も特異度も非常に高いです。しかし簡易抗原定性キットは、PCRに比べて感度が8割から9割程度。もちろん優良品の話です。粗悪品になると感度が5割以下のものもあります。ところが意外なことに粗悪品でも特異度は優秀で、90%以上あります。感度30%、特異度99%なんていう品もあります。

 つまり粗悪品の簡易検査キットは、陰性と出ても信用できないけど、陽性だったらまず間違いなく陽性ということです。ざっくり大雑把な説明ですが少しでもお役に立てば。

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