フランス発の人気洋菓子店「ベイユヴェール」が、他人がデザインしたケーキと酷似したケーキを販売したことを受け、運営会社の株式会社「ティーケーシン」(本社・兵庫県西宮市)が模倣を認め、ホームページに謝罪文を発表した。酷似商品は2個あり、バタークリームで作った花を愛らしく飾った「フラワーケーキ」と呼ばれる作品。見比べると、色合いや花の大きさ、形、細かな配置までそっくり。著作権に詳しい弁護士は「元のケーキに創作性があり、著作権法違反に当たりうる」と指摘する。
声を上げたのは、東京都でアイシングクッキーとケーキ教室を催す義山友紀さん(35)。教室の生徒から指摘があり、義山さんが生徒のために作ったサンプル品と、義山さんが運営するカフェ従業員の作品に酷似したケーキが売られていることが発覚した。
ベイユヴェールの運営会社は15日、ホームページ上に謝罪文を掲載。「当該商品は直ちに販売を停止するとともに、既存商品はすべて回収して廃棄し、ウェブサイト上の掲載についても即時掲載中止、SNS 上の投稿も削除対応をおこなっております」としている。義山さんにも後日、直接謝罪するという。
ポイントは創作性があるかないか
大阪などにオフィスを構えるAuthense (オーセンス)法律事務所の川崎賢介弁護士によると、今回の案件は著作権法に当たりうるという。ポイントになるのは創作性があるか、ないか。「一般的なショートケーキなどと異なり、当該のフラワーケーキは特殊で、作者が花をどの位置に置いたかや、大きさ、色合いなどが工夫されていて、創作性があると判断される可能性が高い」と川崎弁護士。そのためケーキが著作物と見なされ、著作権侵害に当たりうる。ベイユヴェールの酷似商品がどれだけ販売されたかなどによって、損害金は決まる。
また、製品や商品のデザインについて独占権を認める「意匠権」を取得している場合は、模倣品は意匠権の侵害になるという。
▼ベイユヴェールの運営会社「ティーケーシン」が掲載したお詫び
https://beillevaire.jp/shopping/html/user_data/news20221215.pdf