“顔面凶器”という何やら物騒な異名を取る、俳優の小沢仁志(60)。還暦記念主演映画『BAD CITY』(2023年1月20日全国公開/福岡県で先行公開中)では全編ノースタントで、襲撃してくる悪党どもを全力でボッコボコにした。これまでのキャリアの中で殺した数は2000人以上と豪語する小沢。そのハードな俳優人生の中での癒しは、あまりにも意外過ぎるものだった。
その前に、気になる情報がネット上で語られていたので本人に直接尋ねてみた。それは目隠しの状態でもガバメントやベレッタを5秒で解体できるというもの。…小沢さん、これ本当の話ですか?
「ああ、マジだよ。マニラ警察に今で言うところの特殊部隊があって、俺はそこで実弾のコンバットシューティングを2年間訓練しているから。目隠し状態で解体5秒、組み立て7秒だ。訓練地は砂地だから、匍匐前進したり転がって物陰に隠れたりする時に銃の中に砂が入る。その砂を除去するために銃を瞬時に解体して組み立てて撃つ。俺はそれができる」。
Vシネマ全盛期の頃の話。本物志向の尋常ならざる役作りが、唯一無二の俳優・小沢仁志を形作ったわけだ。「射撃はマジで得意だよ。最近は撃っていないけれど、フィリピンでトレーニングをしていた時は二丁拳銃で満点を取ったよ。ジョン・ウーの映画みたいだよな」。
そもそも2年間もマニラ警察で一般人が実戦トレーニングを積めるものなのか。「たまたまフィリピンにパイプがあってさ。マルコス時代からの将軍とたまたま仲が良かったの。フィリピンは絶対的なパワーバランスで成り立っているから、その将軍の鶴の一声で特殊部隊チームに参加できたわけ。まあ、たまたまだな」。
小沢を表す“顔面凶器”という異名。今ではウィキペディアで顔面凶器と検索すると、小沢を紹介するページに転送される。この浸透ぶりに小沢本人は何を思うのか?
「なんとも思ってねえな。俺は噂とかネガティブな書き込みとかは見ないし、周囲の評価も人が俺のことをどう思っているかなんてことにも興味がない。俺のことを“顔面凶器”と周りが言うのならば、それはそれでいいと思うよ。要するに我関せずだな」。
“顔面凶器”と畏怖され、フィリピンの特殊部隊で腕を磨いた男の癒し。それは東京ディズニーランドである。
「いいじゃねえか!顔面凶器がディズニーに行っちゃいけねえ法律でもあんのか!?シーよりもランドだよ!」。
シーよりもランドを推すには理由がある。「基本的に俺は絶叫系が苦手だから、シーに行くと乗れるものが少ないの。そうなると必然的にランドだろ」。
中でも『イッツ・ア・スモールワールド』をこよなく愛している。世界中の子供たちが各国の民族衣装で歌う『小さな世界』を聞きながら世界一周の旅を楽しむ、癒し系アトラクションだ。
「あのアトラクションは本当に最高だよ。みんなで船に乗って『小さな世界』を聞くと、平和の大切さをしみじみと感じるね。リニューアルしてから人気になって長蛇の列だけれど、俺は誰も並んでいない時代から『イッツア』推し。連続で2周したこともあるよ。絶叫系に乗せられた後に『イッツア』で心を整えないと具合が悪くなるから」。
ずばり、東京ディズニーランドの魅力とは?「やはり俺にとっての異空間であり、ディズニーランドという空間を完全にディレクションしているところかな、楽しめて心を癒してくれる場所。ふとシンデレラ城を見上げたりすると、ここでドンパチ映画でも撮れた最高だな…なんて思ったりして」。夢の国にエンターテイナーとしての共鳴を感じている小沢だった。