新型コロナワクチンの有効性について、米国で最も権威ある医学雑誌に論文が発表されました。ワクチンはこれまでに、世界でどれほどコロナ死を防いだでしょう。
現時点で新型コロナにより世界で約700万人が亡くなっています。2020年にワクチンが開発され世界中で接種が始まって以降、デルタ株からオミクロン株までの期間・2回以上のワクチン接種率・死亡者数を比較したデータが示されました。各国のワクチン接種率と死亡率については、それぞれ国の事情があり、有意な相関関係は認められませんでしたが、それらしきものは示されました。
米国内に限れば、接種率が高い州と低い州について明確に比較できており、ワクチン接種率が低い州では死亡者数が多いことが分かりました。接種率が高い10州と、低い10州を比べると、なんと死亡者数に2倍の差が見られました。これは信頼できるデータと言えます。
「アメリカのワクチン接種がもう少し早ければ、最大約36万人の命が救えた可能性がある」と、この論文は結んでいます。ただここでは、ウイルス自体の弱毒化についての考慮がなされていないため、その点は今後の検討を待たねばなりません。
ワクチン接種の危険性を訴える人もいますが、それが真実なら、接種率が高い国ほどコロナ死以上に死亡者数が増えるはずです。この論文ではその点も否定したと言っていいでしょう。他にも、新型コロナワクチンは2000万人の死亡を防いだ、という報告もあります。
コロナ騒動も3年が経過しました。ワクチンの効果について、ようやくデータ解析が進んできましたが、ウイルスについてもワクチンについても、まだ我々には解っていないことだらけなのです。
(論文出典=Bilinski A, et al. JAMA. doi:10.1001/jama.2022.21795)