公衆の前に立たせ値をつける「妻売り」 近代まで英国に残された風習にSNSびっくり 「離婚が認められない国の抜け道ですね」

中将 タカノリ 中将 タカノリ

近代までイギリスに存在した妻売りの風習がTwitter上で大きな注目を集めている。

「男性が公開の場で女性を売り、値がつけられる。しかも、売っているのは自分の妻。現代的な視点からすると身の毛もよだつような光景だけど、17世紀から19世紀のイギリスでは比較的よく見られた光景で、かつ、売られる方の妻も悲しむどころか堂々としたものだった。これが、妻売り。」と紹介したのはTwitter上で英国史を中心に日々、歴史について語っているエリザさん(@elizabeth_munh)。

17世紀から19世紀のイギリスでよく見られたというこの風習。しかしそれは単なる人身売買ではなく、法の不整備で一般人が離婚するのが困難だった時代の代替の別離手段という側面を持っていたそうだ。たいていの場合、買い手はあらかじめ決まっており、衆人環視の中で「彼女は売られた(夫と別離した)」と言う合意を形成するためのパフォーマンスとして流行した「妻売り」。

エリザさんの投稿に対し、SNSユーザー達からは

「キリスト教では離婚のハードルが高い(特にカトリックは絶対禁止)ので、『上に政策有れば下に対策有り』的な抜け道ですね」
「ナポレオン戦争時代のイギリスの小説に、部下が市場で妻を買ってきたから教会へ行かせたという一節が出てきたけど、娼婦の身請けじゃなくて妻売りだった可能性もあるのね…。」
「キリスト教は離婚を避ける為にこんな事迄考えるのかー。日本はキリスト教戒律と、先進国モラルを間違えて導入したよね。今の事実婚も離婚が認められないが理由だろうし。神との契約は破れない。日本人の互いに愛を誓うと、神に誓うは全く違う。」

など数々の驚きの声が寄せられている。

エリザさんにお話を聞いた。

ーーこの風習についてご存じになった際のご感想をお聞かせください。

エリザ:実情にそぐわない法律に対する庶民らしい身のかわし方だと感じました。人身売買ショーはぞっとするような光景ですが、金銭でのやり取りと、周囲と当人たちの合意と言うのは強力な効果があると思います。法に基づかない離婚を納得させるのであれば、合理的なやり方である事は否めないでしょう。

ーー今回の反響についてご感想をお聞かせください。

エリザ:女性の売買と言うセンシティブなトピックにも関わらず一切炎上する事もなく、否定的なリプや引用もなく、皆が「あー……」と納得しているようなのが印象的でした。法的に離婚が難しいなら、これくらい極端な事もしないとならないのかも知れないし、現代を生きるわたし達ですらある程度納得のいくやり方なのでしょう。見た目は強烈ですが。

◇ ◇

読者のみなさんは妻売りについてどのような感想を持っただろうか。現代のモラル感覚ではあり得ない行為だが、これも社会が未成熟だった時代に女性のせめてもの自由を保つために取られた苦肉の手段。奇妙なこの風習も、成立の背景を考えるとやむを得ないことだったのだろう。

エリザさん関連情報
Twitterアカウント:https://twitter.com/elizabeth_munh

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