首都圏出身の大学生、4人に1人が「地方出身者をからかったことがある」 理由は「話が盛り上がるきっかけ」が最多

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朝日新聞出版のニュースサイト『AERA dot.』と慶應義塾大メディア・コミュニケーション研究所は共同で、都内の大学生を対象に「地方いじり」の実態について調査しました。一都三県の高校出身者を「首都圏出身者」、それ以外の高校出身者を「地方出身者」とし、2022年9月~10月の期間でそれぞれに調査を実施したところ、約4割の地方出身者が「地方出身をからかわれたことがある」と回答しました。また、首都圏出身者の4人に1人が「地方出身者をからかったことがある」と回答しました。

調査では首都圏出身者から164件、地方出身者から112件、合計276件の回答を得たといいます。

まず、地方出身の大学生に対して「地方出身をからかわれたことがありますか」と聞いたところ、42%の人が「からかわれたことがある」と回答。

また、「からかわれたことがある」と回答した47人のうち53%の人が「話題になって嬉しい」と答えた一方で、「いい気持ちではない」と回答した人が9%と一定数いることが分かりました。なお、回答者からは以下のようなコメントが寄せられたそうです。

▽英語のオンライン授業中、アクセントが酷すぎて講師に留学生と勘違いされた(慶大男子学生/青森)
▽西武新宿線が止まって寮に帰れず、どうすればいいか友達に聞いたら「振替輸送も知らないの? 中央線で帰ればいいじゃん(笑)」と小馬鹿にされ、その場では笑って流したが、ショックだった(法政大男子学生/青森)

一方、首都圏出身の大学生に対して「地方出身者をからかったことがありますか」と聞いたところ、26%の人が「からかったことがある」と回答。

また、「からかった理由」については、「話が盛り上がるきっかけ」(86%)、「コミュニケーションの一環」(74%)、「自分と違うことに興味がある」(48%)、「優越感のようなもの」(12%)といった回答が挙げられ、からかわれたことのある10人に1人程度の地方出身者が「いい気持ちではない」と感じる一方で、首都圏出身者が場を盛り上げるために地方出身者をいじっている構図があることがうかがえたといいます。なお、回答者からは以下のようなコメントが寄せられました。

▽群馬県に行くにはパスポートが必要かとからかった(慶大男子学生/東京)
▽マルイ(OIOI)を「おいおい」と読んでいて、後から気まずくなるのを避けるためにユーモアを込めてからかった(日大男子学生/東京)
▽災害の備えについて、福岡出身の友人に「明太子を備蓄してるか」を聞いた(慶大男子学生/東京)

   ◇  ◇

調査結果を踏まえて社会言語学に詳しい慶應義塾大の佐野真一郎教授は、「データを見ると、『からかうつもりはない』『悪気はない』という首都圏出身者の思いと、『からかわれて、嫌だ』と思っている地方出身者の意識のギャップが見て取れる。これはいじめの構造に似たものがあり、注意が必要です」と説明。

さらに「関西芸人の人気などもあり、近年は『方言は使っていい』、さらには『かっこいい』『かわいい』など肯定的な認識が増えた。地方移住の人気もあり、地方の地位も変わってくる。文化的にも多様性があることが望ましいでしょう」とも述べています。

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