Apple IDが勝手に変えられる恐怖 被害に遭った女子学生「知らない人のスマホを持っている感じ」

山脇 未菜美 山脇 未菜美

偽サイトに誘導することで個人情報をだまし取る「フィッシング詐欺」の被害が止まらない。配達業者などを騙るショートメッセージ(SMS)などを送り付け、URLをクリックさせてIDやパスワード、口座番号などを入力させる手口。Apple IDの乗っ取り被害に遭った女子学生(19)は自分のスマホが使えなくなったといい、「知らない人のスマホを持っている感じで怖かった」と振り返る。

女子学生にSMSが届いたのは今年7月末。「お客様が不在の為お荷物を持ち帰りました。こちらにてご確認ください」との内容で、URLが記載されていた。「受け取る荷物なんてあったっけ…」。そう思いながらクリックすると、サイトに表示されたのはApple IDを入力する画面。特に疑問には思わず、素直にIDとパスワードを入力してしまったという。

その後、「Apple ID情報が更新されました」と通知メールを受信。パスワードも電話番号も更新され、何者かにアカウントを掌握された。「何かおかしい」。そう思った時にはもう遅かった。Apple IDに紐づけされているiCloud機能はもちろん、写真やメール、メモも使えなくなっていた。何度IDとパスワードを入力しても使えず、知らない人の携帯を持っているような感覚だったという。

すぐにAppleに電話した後、午後には携帯会社へ。Apple IDの初期化が必要と知り、書類をかき集めて数日後に郵送。初期化ができるようになった後は、パソコンで丸一日掛けて初期化した。

クレジットカードも紐づけていたが、幸いにも被害はなかった。だが、これまで大事にしていた写真やメールなどのデータは全て失った。女子学生は「被害に遭った後でURLが文字化けしていることに気付きました。まさか自分が、と疑うことが弱かったなと後悔しています」と話す。

国税庁をかたるフィッシング詐欺も

フィッシング詐欺対策協議会の統計によると、フィッシング詐欺の報告件数(海外を含む)は年々増えており、2021年は52万6504件で前年の2.3倍に。今年1~2月は月5万件前後だったが、3月には8万2380件に急増した。その後も増え続け、7月には初めて10万件を超えた。最新の10月は7万81261件。手口としては、国税庁を騙る文面からクレジットカードの情報を入力してフィッシングサイトへ誘導するタイプなどがあるという。

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