「角棒を手にバリケード」「時計台占拠」京都大学の60年代学生紛争、市民が激写した写真が貴重「生々しく伝える」

京都新聞社 京都新聞社

1960年代の終わりに激化した京都大(京都市左京区)の大学紛争を撮影した写真が、京大大学文書館(同区)に寄贈された。角棒を手にバリケードを設置する学生や、投石が散らばる大学周辺の光景など当時の騒乱を市民目線で捉えられた写真は珍しいといい、同館の西山伸教授は「紛争の様子や衝突の激しさを克明に伝える史料」としている。

写真は20点。左京区の男性(64)が2020年11月ごろ、かつて京大近くで牛乳配達店を営んでいたおじの遺品から見つけ、今年10月25日に寄贈した。

寮の建て替えなどを巡って学生が大学側と対立し、学生部の建物を封鎖した1969年1月以降に撮影されたとみられる。封鎖を支持する他大学の学生が入り込まないように、反対派の学生が本部構内正門で立て看板を使ってバリケードを設ける様子や、衝突で散乱した投石、大学のシンボルでもある時計台が占拠された風景などが収められている。

当時は学内での入試が中止されており、現地の様子を確認しようと訪れた受験生と思われる男性や、顔を隠すためのマスクを下げて素顔をさらして歩く学生も写っている。西山教授は「学生に接近して撮影した臨場感のある写真。紛争当時の様子を生々しく伝える貴重な史料だ」と評価する。

大学文書館は今後、ホームページなどでの公開を検討するという。寄贈した男性は「後世に歴史を伝える史料として何らかの形で活用してもらえたら」と話した。

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