ツイッターユーザー「コンビニさん」(@CVbanzai)さんはコンビニ勤務歴約15年の正社員。先日、常連客から店内のトイレの異変を知らされ駆けつけると、個室の中には目を疑うような光景が広がっていました。
「トイレから名前呼ばれ 行ってみると常連さんが立ち尽くしてた。どしたん? 何事? って見ると個室の中に食べかけのお弁当、床にはジュースの飲みかけ、箸、ゴミが散乱」(ツイッター投稿から引用)
放置された商品を見てピンときました。トイレを荒らしたのは、少し前に会計を済ませた中年の女性客でした。「トイレで食べるって…」。防犯カメラを見ると、女性客がトイレを出た後、トイレを利用しようとした人は何人かいましたが、いずれもドアを開けて立ち止まりUターンする姿が写っていたそうです。
悲惨な状況…「バイトの子が掃除するのはかわいそう」
「コンビニさん」さんが勤務する店舗は旧国道沿いに位置し、住宅地が近いことから幅広い客層が利用します。話を聞くと、利用者のマナーの悪さには常日頃から頭を抱えていました。
──トイレのマナーはそんなに悪いですか。
「飲食以外にも、便座と床の便尿汚れは毎日です。あとは汚物の放置。便器、便座、床、壁、トイレットペーパーホルダー、水洗レバー、荷物置き場など、一度に全部を汚されたこともあります。コロナ禍の初期には、補充用のトイレットペーパー、壁に設置してある缶の便座消毒スプレー、芳香剤、手洗い場の液体洗剤など全て盗られました。売り場の商品を万引きし、トイレにパッケージを捨てられていたこともあります」
──発見したときはどんな気持ちに。
「まず驚き、腹立ち、悲しくなります」
──掃除は汚れを見つけた店員さんの役目ですか。
「掃除は若いバイトらには絶対させられません。うちの店ではほぼ毎日店にいる私が処理します。自分が用を足したついでに掃除してくれるバイトもいますが、必ず私を呼ぶようにと言っています。あんな悲惨な、便尿をまき散らしている状況、若い子らには負担が大きすぎてかわいそうです。もう15年働いてますが、こればかりは慣れず、便尿の処理後はしばらく気持ち悪いです。他のお店さんでも若いバイト達にはさせないところが多いようです」
──店内トイレの利用者に「これだけは言いたい」ということは。
「とにかく自分の家のトイレでしないことをコンビニだけでなく外でしないで欲しい。コンビニは公衆トイレではなく、店側の善意で貸していることをわかって欲しいです」
「最近はトイレだけの利用も多く見受けられます。買い物もせず、汚すだけ汚されては維持費や精神的苦痛など、マイナスでしかありません。汚れているからと怒鳴るのもやめて欲しいです。店側は2人体制がほとんどです。誰かが利用するたびにチェックして掃除なんてできません。『これだけは言いたい』では無理です。どんどん出てきます」
トイレのマナーは「次の方のために」
「トイレは個人の部屋ではないですよ」。こう話すのは、2010年からトイレ問題に取り組む長崎県の市民グループ「みんなにやさしいトイレ会議」実行委員長の竹中晴美さんです。竹中さんのもとには、コンビニや公園などのトイレの信じられないような使用例が山のように寄せられているといいます。
例えば、長崎市内の多目的トイレでは今年5月、トイレが詰まり、水を流すことができなくなりました。便器を外すと、中から出てきたのは大量の菓子袋のごみ。以前から個室内で弁当や菓子を食べている人がおり、食後に出たごみを捨てているようでした。
竹中さんは「公共のトイレ、特に多目的トイレは身体の不自由な人が緊急のときに使うこともあり、お弁当やお菓子を食べるために滞在されたら困る場所なんです」と訴え、「トイレのマナーは『次の方のために』という、次に使う人を思いやる心遣いです。ごく当たり前のことですが、いちばん難しい課題なんです。公共のトイレを使うときは『ここはあなただけの部屋じゃないですよ。みんなの空間ですよ』ということを頭の中に入れて欲しいです」と呼びかけます。