最近は、少しずつ男性更年期についても語られるようになってきましたが、男性の更年期不調には決まったサインや期間がないと聞きます。そこで、首都圏在住の35歳~64歳の男女3万267人(男性1万5145人・女性1万5122人)に調査をしたところ、40~50代の更年期への向き合い方において、「更年期を認めたくない」と回答した男性は15%と、女性の3倍にのぼることが分かりました。また、男性更年期の症状については、「筋力の低下」「よく眠くなる、しばしば疲れを感じる」「関節や筋肉の痛み」などに回答が集まったそうです。
花王株式会社の『生活者情報開発部』が「男性の更年期の意識実態調査」と題して、2021年12月に実施した調査です。
まず、40~50代の男女(男性1万895人・女性1万878人)に対し、「更年期への向き合い方」について聞いたところ、男女ともに「更年期をやり過ごす」(男性51%・女性44%)が最多となったものの、男性では「更年期を認めたくない」が15%と、女性(5%)の3倍にのぼることが判明。
また、「病院に行く」(男性9%・女性17%)、「友人と話す」(男性12%・女性22%)などの、誰かに相談する人の割合は女性の半数程度に留まっていることから、話しにくい話題であり、なるべく足を踏み入れたくないと考える男性の姿が浮き彫りとなりました。なお、回答者からは以下のようなコメントが寄せられたそうです。
▽加齢で体力が落ちる、頻尿になるのも寄る年波かなと思ったら近所のかかりつけ医(内科)に行く(59歳男性)
▽怖くて調べません。自覚症状が無いわけでも無い。生活に支障がないから病院に行こうとは思わない(52歳男性)
▽医者に行っても「更年期です」と言われて終わりそう。高齢者を見ていると、ある程度の年齢なったら自然に治まるイメージ(45歳男性)
▽女性のようにのぼせとかイライラすることもないので、自分は違うと思う。頻尿や冷えはあるけれど、飲んでいる薬の副作用かもしれないし…(64歳男性)
▽世間的に「男性更年期」が定着していないのに、自分をそういう病気にくくってしまうのはずるいと感じる(52歳男性)
同社は「男性更年期の情報や理解が不足していることが、症状の悪化を招くことにもなりかねません」とコメントしています。
続いて、40~50代の男性1万895人を対象に「男性の更年期に見られる体調の変化」について、加齢男性症状調査表(AMS)のセルフチェック項目の症状で見てみたところ、症状が「きわめて重い」「重い」「中等度」「軽い」の合計では、「筋力の低下」(72%)、「よく眠くなる、しばしば疲れを感じる」(68%)、「関節や筋肉の痛み」(66%)、「早朝勃起の回数の減少」「からだの疲労や行動力の減退」(いずれも64%)といった症状が上位に挙げられました。
また、症状レベルを男女で比較すると、軽症以上が疑われる割合は約6割と同程度だったものの、症状が中等・重症程度になると男性31%、女性23%とむしろ男性の割合が高くなっていたそうです。
同社は「40~50代男性の半数以上が自覚する症状も多くありますが、加齢による症状と思われがちなことから、自分では更年期の可能性を疑いにくいのかもしれません」とコメントしています。
次に、45~64歳の男性665人、40~59歳の女性927人を対象に「日常的にストレスを感じる頻度」を質問し、これを更年期症状の度合い別にみると、更年期症状が中等・重症の人のうち、ストレス頻度が「多い」と回答した男性は64%、女性56%、「やや多い」では男性36% 女性34%と、男女ともに、頻繁にストレスを感じている人ほど症状が重い傾向にあることが分かりました。
また、「日常的にストレスを感じている」と回答した423人にその原因を聞いたところ、「仕事上の人間関係」(54%)、「仕事の大変さ」(48%)、「将来や老後の不安」(32%)といった回答が上位に挙げられたそうです。
最後に、「更年期症状がある」と回答した45~64歳の男性501人に「からだや心の不調への理解や協力を望む相手」を聞いたところ、「配偶者・パートナー」(64%)が最多に。以下、「同僚や先輩」(15%)、「友人」「専門家(医師・カウンセラー)」(いずれも12%)と続いた一方で、19%の人が「誰にも知られたくない」と考えていることが分かったといいます。
調査結果について同社は「男性更年期については、知識や理解も人それぞれで、全く知らない人もいます。不調に対する悩みや対処方法などをオープンに話せる状況にないことも、男性が更年期不調になかなか向き合えない要因となっているのかもしれません」とコメントしています。