地域猫が産んだ子猫を保護、警戒心が強く手がかかった子猫を家族に 骨肉腫と診断されるも「この子たちのために頑張ろう!」と幸せな日々

渡辺 陽 渡辺 陽

餌付けされた野良猫が産んだ子猫たち

レックスちゃんとスピカちゃん(1歳4ヶ月くらい・メス)は、餌付けされている野良猫が産んだ子猫だった。兵庫県に住むKさんは、このまま野良猫が増え続けるのも良くないと思い、その野良猫が産んだ3匹の子猫を保護して里親を募集することにした。ずっと住み着いていた母猫を含む成猫4匹はTNRして、再び近所の人たちが世話をしているという。

餌付けされている子猫とはいうものの、野良の子猫を保護するのは警戒心が強くて大変だった。特にスピカちゃんは並々ならぬ警戒心の持ち主で、車の中で大暴れ!エアコンやエアバッグの下に逃げ込んでしまい、取り出すのにも一苦労。ダッシュボードやグローブボックスを外して、なんとか取り出したという。

手のかかる子ほど可愛い

Kさんは自宅の離れに子猫たちを住まわせ、世話をした。子猫たちは蛙や虫を食べていたようで、フンに混じって大きな寄生虫が出たので何度も虫下しをした。またダニもたくさんついていたので、世話をした後は、先住猫にうつらないように服を着替えたり、よく手を洗ったりした。

子猫たちは不妊手術をしてからネットで里親を募集した。シャム柄の子猫はすぐに人慣れして、素敵な里親が見つかった。シィーちゃんと名付けられて可愛がられている。レックスちゃんとスピカちゃんも引き続き里親を募集したが、Kさんが飼うことにしたという。

「レックスとスピカはどちらも人慣れに時間がかかりました。特にスピカの警戒心を解くにはかなり時間がかかりました。どちらも手のかかる子だったのですが、世話をしているうちに愛着が湧き、そのまま飼うことにしたのです」

スピカちゃんの骨肉腫

2匹を飼うと決めたので、3歳になる先住猫にも慣らすようにしたが、これにも時間がかかった。

「初めはお互いにシャーシャー威嚇していましたが、2ヶ月ほどでやっと慣れて、今は一緒に寝たり遊んだりしています」

一件落着かと思ったが、2022年8月頃、スピカちゃんが左脚を痛がるようになった。最初は太っているからなのか、よく暴れるからなのかと思ったが、痛み止めやステロイドで様子を見ても治らない。

「念の為、レントゲンを撮ったら骨肉腫だったのです。画像を見た時はゾッとしました。自分が知っている生き物の骨の形ではない、ボコボコした気味の悪い形でした。転移する前に切断手術をした方がいいということになり、翌日に手術をしてもらいました」

幸い他への転移は見られなかったが、Kさんは、まだ1歳なのに本当にかわいそうだと不憫に思った。

「今は元気に見える他の子も、私自身も、明日にはどうなるか分かりません。一日一日を大事に、この子たちと過ごしたい。なんでもない一日も、取り返すことのできない大切な時間だと強く感じました」

この子たちのために頑張ろう!

スピカちゃんは本当に臆病で、家に慣れた今でも雷やインターホンの音に驚いて走り回る。しかし、臆病で人見知りするスピカちゃんが甘えてくれた時、Kさんは「信頼されているんだな」と思って嬉しくなる。

レックスちゃんは日が昇る前から「朝ごはんをくれ!」と噛んできたり、耳元で鳴いたりする。Kさんは、「今朝もうるさいなあ…」と思いつつ、それも幸せな目覚めだと言う。

「私たちにとって犬や猫は大切な家族です。仕事などで辛いことがあっても、家に帰ったらこの子たちがいる。辛いことも吹っ飛ぶくらい幸せな気持ちになれます。何より、この子たちのために頑張ろう!という原動力になるのです」

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース