当院には、面倒を起こされるような患者さんはほとんどいらっしゃいませんが、開業して長いと様々な患者さんが来院されます。一番困るのは病気でないのに「この薬を処方して」と来院される患者さんです。
医療費は国民の税金でまかなわれています。希望した薬を処方してもらうのは当然の権利だと思う患者さんがいるかもしれません。しかし、それは間違いです。
我々医師が診察をして必要であり、適切と考えた薬を処方できるのが、医療行為なのです。よくあるのが、高齢の患者さんで「湿布を大量に出してくれ」「風邪をひいたときのために風邪薬を余分にくれ」という注文です。これらの余分な処方薬の存在が、日本の医療費を圧迫し、必要な医療費が削られる傾向に向かわせているという事実を考えなければなりません。
また、皮膚科でよく処方される「魔法のクリーム」と呼ばれるクリームも不必要に処方されることが多く、そのうち保険の適応がなくなるのではないかと心配されています。
患者さんが医療関係者である場合には、もっとひどいケースも。生半可な知識があるため、薬の名前を個別にオーダーし、今の状態では必要ないですね、とお断りすると激昂して大声をあげたり、陰湿な書き込みをする人もいるようです。これは、医師のいう事を聞きなさいという意味ではなく、法律で決まっていることなのです。
さらにひどいのは、睡眠薬等の転売です。当院にもこういうことをする人が2回来ましたが、丁重にお断りしました。諸々のルートで名前が回り、気を付けるようにと回覧が回ってきており、犯罪を未然に防ぐことができました。我々医師は、診察をした上で必要不可欠な薬のみを処方するように心がけています。ご理解をよろしくお願いします。