「こいつとずっと旅をしている」ーーTwitterユーザー「ANI3」さん(@ANI3)の旅の投稿が10万を超えるいいねを集めるほど話題です。「単に千葉までの20駅の間、ずーっとこいつが向いの席の肘掛けにいたってだけの話なんですよ」。反響の大きさに驚くANI3さんに話を聞きました。
「かなりドッキリして本当に二度見」
ANI3さんは10月15日、北総の小江戸と呼ばれる人気スポット、千葉県香取市の佐原へ出かけました。道連れと出合ったのは帰路。夜のJR総武本線車内でした。乗車後、しばらく経ってから、向かいの肘掛けにじっと止まる大きなカマキリに気付いたのです。
「乗ってから20〜30分くらいだったでしょうか。いきなり、そこにいたのです。久しぶりにでかいカマキリを見て、かなりドッキリして本当に二度見しました」
非現実的な光景に驚いたANI3さんでしたが、徐々に不思議な感情が芽生えたといいます。
「わずかな乗客だけを乗せ、真っ暗な千葉の田舎をゴトンゴトンと進む列車の中で佇む彼の後ろ姿を見ているうち、なんだか一緒に旅をしているような気分になってきました。スマートフォンをいじりつつも、ときどきチラチラと気にして見ていたのですが、微動だにせず、一向に飛んで行ったりしないので、一体何が目的で何を考えているんだろう…と思いはじめ、1時間半ほど経ったタイミングで、そうだ記念に写真撮っておこう(笑)と思ったのでした」
のどかな旅も終点が近づいてきたころ、突然動きがありました。
「カマキリは終点の1駅前、東千葉駅にさしかかるあたりで急に手すりを前に進み、座席を登っててっぺんまでいきました。『ま、まさか終点で降りる気なのか…!?』と、心の中で大爆笑してしまいました。ほんとうにそうだったらかなり面白いなぁと思ったのですが、結局、彼は少し車内をバタバタッと飛んで、扉の上の位置について、また動きを止めました」
ちなみにこの扉は、千葉駅で開くホーム側のドアだったというから驚きます。その後のカマキリの行方については「あの雰囲気だと折り返しに乗ったまま、のどかな北総まで戻っていったんじゃないかなぁと想像しています」。
ポケモン、文学肌、鉄道会社目線…反応さまざま
「1時間以上ずっと同じところで微動だにしなかった彼、終点が近づくとおもむろに動き出して窓の外を窺い出した」「まさか降りる気か…?」「まっ、前の人…狙われてる…!?」など、カマキリの動向には手に汗握る人が続出。一連の投稿には10万を超えるいいねがつき、現在も拡散は続いています。
反響の大きさについて「引用RTやリプライなどが超大量で返事しきれませんが、楽しく読ませてもらっています」というANI3さん。反応は大きく分けて次のようなタイプに分類できたそうです。
・シンプルに昆虫好きな人
・自分にも経験がある、という人の写真や動画つきの投稿
・tweetの文面から『ポケットモンスター』の主題歌を連想し、ポケモンネタに着地させる“短パン小僧”
・「カマキリ」と聞けば「ハリガネムシ」(寄生虫)に言及せずにいられない自然の神秘主義者
・種田山頭火の句「宿までかまきり ついてきたか」に絡めてくる文学肌
・国語の教科書でおなじみのかまきり りゅうじの詩「おれは かまきり」に絡めてくる児童文学肌
・国内外来種問題として認識し、ゆゆしき事態と捉える社会派
・「カマキリはゴキブリやシロアリのなかま」という知識を広めたくて仕方がない昆虫博士
・その後の“彼”の行く末を想像し思わず涙する感受性マシマシ派
・カマキリの無賃乗車疑惑を指摘する鉄道職員視点
・とにかくカマキリネタのダジャレでオチをつけたいオトーサン族
「ここらへんに必ず分類できるのが、なんだかすっごく面白かったです。僕はカマキリとの夜の列車旅を想像してしまったので、『感受性マシマシ派』と『文学肌』の中間でしょうか(笑)。秋の味わい深い思い出をタイムラインのみなさんと共有できてよかったです」(ANI3さん)