ベスパは街乗りだけじゃない!大荷物載っけて二泊三日キャンプへGO!

小嶋 あきら 小嶋 あきら

キャンプブームといわれて久しいこの頃ですが

 数年前から、キャンプがブームと言われています。筆者の周りでも、最近キャンプ場の予約が取りにくくなっていると見聞きして、その流行を肌で感じています。

 昔に比べるとキャンプ場もよく整備されたところが増え、オートキャンプ用に電源が取れたり、トイレが水洗できれいになっていたり、温泉施設が併設されていたりして人気です。また「グランピング」なんていう言葉もよく聞くようになりました。アウトドアでありながらホテルのように快適に泊まることができる、至れり尽くせりの豪華なキャンプのことですね。

 一方、オートバイを使ったキャンプツーリングは、その対極にあると言ってもいいかもしれません。言うまでもなく、クルマに比べてバイクはあまり荷物が積めません。テントやシュラフ、マットなど、できるだけコンパクトなものを選んで、さらに厳選して必要最小限の荷物でのキャンプになります。

 ごくたまに筆者もバイクでキャンプに行きますが、一人用のテントとコンパクトなマット、シュラフ、椅子というミニマムな装備で出かけることが多いです。最低限「寝ること」に特化したキャンプで、調理しないで食べられるものを現地のスーパーなどで調達、というスタイルです。

バイクで豪華なツーリングを楽しむ

 しかし、バイクツーリングでもしっかりと「食」と「滞在」を楽しむ方ももちろんいます。筆者の知人のKさんもそんな方で、その豪華な装備、優雅に楽しみ尽くすキャンプをご紹介します。

 Kさんの愛車はベスパPX200。排気量こそ中型の区分ですが、車体は小柄なスクーターです。この小さなバイクに、テント、シュラフ、マット、椅子といった基本の道具はもちろん、バーナー(ストーブ)、調理器具、食材(の入ったクーラーボックス)、コーヒーセット、ナタ、焚き火台、テーブル、調理器具などを使いやすく並べる小型の棚、さらに秋以降は薪ストーブといった、クルマのキャンパーでも持って行かないような装備を山盛りにして出かけるのです。

 大量の荷物を手慣れた様子で次々にパッキングして、まるでデカ盛り食堂のトッピングのようにベスパに積み込んで、というか貼り付けて。最後にその生活の全てを乗せたようなベスパの隙間に本人がはまり込み、一体化した状態で旅をするのですね。もはや一つの様式美、といったものを醸しているかのようにも感じます。

 ただ、ベスパというと日本では「お洒落なバイク」のイメージが強いですが、元々はイタリアの実用車、日本でいうとカブのような乗り物です。そのシンプルな構造と耐久性、積載性。実はかなりタフな乗り物だったりします。ある意味この使い方はベスパ本来の姿とも言えるのかもしれません。

 そしてその装備から生み出されるキャンプ料理もまた素晴らしいです。この日も飛騨牛のトマト煮込み、天然鮎の塩焼き、けいちゃんライス、自宅から漬け込んで持ってきたリブステーキ、洋梨のコンポートなど、次々においしいものが出てきて、筆者を含めて同行の仲間3人もう大喜び。ご馳走様でした。

なぜベスパで?

 しかし、なぜあえてベスパでキャンプに行くのでしょうか。本人に聞いてみると、 「キャンプ行くのはええけど家のクルマ使わんとってね、不便やから。って妻に釘を刺されてるんです」とのこと。

 なるほど、家庭内パワーバランスがそこに影を落としているのですね。

「薪ストーブはさすがに買うとき悩みました。その世界に足を踏み入れてしまってもいいのか、と。で、買ったら家人に言われました。年がら年中キャンプ行くつもりやねんね、って」

 

 この装備をベスパに積んで、大阪南部から二泊三日で日光白根山(栃木と群馬の境目ですね)まで行ってしまうというKさん。この人は一体何の動力で動いてるのだろう、なんて軟弱な筆者などは常に驚きを隠せないのですが、実は家庭内の情勢の安定にもしっかりと気を配りつつこれをこなしているのだ、というところを伺い知って、ますます賞賛の思いを新たにしました。

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