「カステラになりたい木の気持ちを表現しました。」と、「角材」がふわふわの「カステラ」に少しずつ変わっていく様子をあらわした木彫り作品がtwitterに投稿され、話題を呼びました。硬い木の質感が柔らかい菓子の質感に段階的に変化していく姿が表現されており、見る者の目と心を惹きつけます。制作者に作品のコンセプトをお聞きしました。
この作品を投稿したのは「キボリノコンノ」(@kibori_no_konno)さんのアカウント。本作について「これ1番好きかも。」ともいうキボリノコンノさんは、約一年前から「コロナ禍におけるお家時間をいかして新しい趣味を始めたい」という思いから木彫りを始めたそう。初心者とは思えぬ卓越した技術と繊細な感性で生み出される作品がSNSで人気を集めています。
これまでも「洋菓子店・ヨックモックのロール状ラングドシャクッキー・シガールを題材にした木彫り作品」や「木彫りを始めて2ヶ月の時に作った『納豆』を題材にした木彫り作品」などが話題になってきました。
今作もただ「カステラ」を彫るのではなく、「カステラになりたい木の気持ちを表現しました」というところに作者の優しさ、想像力の豊かさが感じられます。
投稿には「まさに切り出されカステラになろうと、やわらかさを手に入れる瞬間がすごくいいです!」「カステラ進化論(涎)」と造形の見事さを讃える声や「一回かじってみたい」「これ好き!かわいい! なりたかったんだね、カステラに…。なれてよかったね…」と作品に感情移入する声も届いています。どんな気持ちでこの作品を彫ったのかキボリノコンノさんに語っていただきました。
スーパーでカステラを見て「あっ食べたい!!」「作りたい!!」と思ったのがきっかけ
――本作は木彫りを始めてどのくらいたったころの作品ですか?
木彫りを始めて約半年の時に作った作品です。近所のスーパーで長崎カステラが売っていて、「あっ食べたい!!」と思ったと同時に「作りたい!!」と思ったのがきっかけでした。カステラが切り分けられている様子が、木の角材のように見えて、木材とカステラを組み合わせた作品を作りたいなとの思いから、木材がカステラに変化していく様子を「カステラになりたい木の気持ち」に例えて表現しました。
――制作時間はどのくらいかかりましたか?またカステラの色合いはどのような画材で塗られたのですか。
制作時間は10時間です。着色はアクリル絵の具を使って、卵をたっぷり使ったカステラの生地や底についているザラメまで表現しました。
――ご自身でいちばん気に入っている部分は?
木の端の部分が自ら分離していく様子が、まるで木が生きているように見えて、「カステラになりたい」という強い気持ちをよく表現できていて気に入っています。また、作品全体としても、木が食べ物に変わっていく面白さを表現できたと感じています。
――本作は「#私の個性はきっと誰かにささる」というハッシュタグと共に投稿されていますね。「ささった」人たちから様々なコメントが届いています。
今まで作ってきたたくさんの作品があるなかで、この作品が好きだというコメントも多くとても嬉しいです。また、「なりたかったんだね、カステラに…。なれてよかったね…という温かいコメントが印象的でした。
一年間木彫りを続けてみて、その手ごたえを「自分が『こんなものが木でできていたら面白いな』と思ったものを作っているだけですが、非常に多くの方が楽しんでくださり、木彫りの持つ可能性を感じています」と話し、さらに「『これを作ったら面白そう』という発見がある限り、これからも木彫りを続けていきたいと思っています」と意欲を語るキボリノコンノさん。また「これから作品をさらに増やして、全国各地で展示会を開催できるよう計画中です」とのことで今後の予定は自身のHPやSNSで発信していくそう。本作が「ささった」方はぜひチェックしてみてくださいね。
【キボリノコンノさん情報まとめ】
◇HP|https://kibori-no-konno.jimdofree.com/
◇Instagram|https://www.instagram.com/kibori_no_konno/
◇YouTubeチャンネル|https://www.youtube.com/channel/UCxmNkVu5TZn38LY6LtX3UOw