北海道旭川市で9月20日夜、30代男性の首や胸などをナイフで数回刺した殺人未遂容疑で自称無職川口和人容疑者(56)が現行犯逮捕され、刺された男性は死亡した。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が当サイトの取材に対し、事件の背景を推測した。
20日午後6時20分ごろ、旭川市内で「人が刃物で刺された」と110番があり、警察官と消防署員が現場に駆け付け、路上に倒れていた職業不詳金沢孝雄さん(32)を病院に運んだが、死亡が確認された。現場付近にいた金沢さんの妻も上半身を複数回刺されていたが、命に別条はないという。
旭川中央署は殺人未遂の疑いで、現場に面した家屋に住む川口容疑者を現行犯逮捕した。金沢さんとは事件当日まで面識はなかったとみられる。
その後の調べで、金澤さんの小学生の娘と友人が下校途中、道路に落ちていた遊戯銃用の「BB弾」を拾って川口容疑者の自宅に向けて投げたことなどから、トラブルになっていたことが分かった。同容疑者は子どもを怒鳴りつけ、その友人のカバンを蹴るなどしたため、その報告を受けて金沢さん夫婦が同容疑者の自宅に行ったところ、口論の末に金沢さんは10カ所以上を刃物で刺されて失血し、妻も背中などを刺されて重傷を負った。
小川氏は「今回の事件が起きた旭川市には、女子中学生がいじめ事件で亡くなった件がある。先日、第三者委員会の最終結果報告があったのですが、実は、その事件に関係している教師が住んでいるのと同じ地域なんです。ですので、この地域では子どもさんに対して非常に過敏になっている。逆に言うと、被害者の方は自分の子どもがそういう怒り方をされたということで、相手は子どもではなく大人であっても、〝いじめ〟のようなことを感じて、『ひとこと言っておかなければ』と思った可能性も、親の考えとしてはあるかもしれない」と直談判に行った被害者の心理状態を推測した。
その上で、小川氏は「こういったトラブルのケースでは、相手が初対面で、何を考えているか分からない状態で直接会いに行っても、思っていた以上に怒っていたりする。今回のケースを冷静に考えれば、娘さんたちはBB弾を撃ったわけではなく、落ちていた弾を拾って手で投げただけで、そのくらいのことでムチャクチャ怒ったり、カバンを蹴ったりしているということを娘さんから聞いたのなら、『この相手は普通ではない、尋常ではない』と考えるべきだった」と指摘した。
同氏は「行く前に警察に連絡をするとか、町内の自治会長らに相談をしてみるとかで、相手もトラブルが多い人であるといった情報を知ることができる場合もある。今回に限らず、トラブルが起きた時の一般的な対応として、直接、相手の元に行くのではなく、ワンクッション置いて行く方がいいと思います」と見解を語った。