「赤い羽根」はどこに? 募金運動のシンボル、ステッカーが主流になっているワケ

堤 冬樹 堤 冬樹

 10月から全国各地で始まる「赤い羽根共同募金」。運動のシンボルで、寄付者に配られる「赤い羽根」の数が近年減り、その替わりとして羽根のデザインされたステッカーが主流になりつつあるという。背景には何があるのだろうか。

 中央共同募金会(東京)によると、赤い羽根共同募金は1947年に戦後復興の一助として始まり、その後、地域福祉の推進や災害の被災者支援など幅広い事業に活用されてきた。当初は寄付者にバッジを渡していたとされるが、翌年から米国の団体を参考に、より安価な赤い羽根に変更された。

 羽根は中国のニワトリを原料としているが、2019年に品薄で入手困難となり、代替のステッカーが作られることに。その後も全国的に羽根が不足するなど見直しの動きが進んでいるという。京都府共同募金会では今年、羽根約6万本に対し、ステッカーは約80万枚と多くを占めている。

 ステッカーや羽根は、活動をサポートする自治会や企業、地域団体などに配布したり、街頭募金で寄付者に手渡したりしている。羽根は主に服の襟やかばんに留めて使われており、京都府共同募金会には「昔ながらの羽根の方が愛着があっていい」との声が寄せられている一方、針の危険性や服に穴が開くのを敬遠してステッカーを希望する人も。スマホやパソコンなど身近な所持品に貼ることができるほか、特殊な加工で服も傷みにくいという。

 京都府内の昨年度の共同募金額は計2億9300万円余りで、1995年度をピークに減少傾向にある。コロナ禍で街頭募金や戸別訪問をしづらくなるなど苦境が続く中、府共同募金会の西川昌良参事は「羽根の方が募金のイメージが強いかもしれないが、ステッカーはいろんな場所に貼れるなど活用範囲も広がる。目にしやすくなることで運動の盛り上がりにつながれば」と期待している。

 京都府共同募金会は10月1日午前10時半から、3年ぶりとなる開始式典を大型商業施設「京都河原町ガーデン」(京都市下京区四条河原町)前で開く。その後、周辺で街頭募金活動を行い、2日も実施する。運動は来年3月末まで。

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