かつて昭和の少年たちが胸を熱くしたロボットアニメや特撮のキャラクター玩具「超合金」。ブームの火付け役となった1974年の「超合金マジンガーZ」発売から半世紀近く経つが、現在も大人向けの「超合金魂」シリーズが展開されるなど、根強い人気を誇る。小材直由さんは、今では希少になった1970〜80年代の超合金を多数所有するコレクターだ。2年前には、埼玉県内にコレクション約2000個を保管・展示する「超合金鑑定室」を整備。メディアを通じて超合金の魅力を発信している。
超合金は、ポピー(現バンダイ)から発売されたダイキャスト製キャラクター玩具のブランドで、バンダイの登録商標。亜鉛や銅、マグネシウム、鉄などの混合素材を鋳造し、主にプラスチック素材などと組み合わせて成型されている。ずっしりとした重量感が持ち味で、特にロボットやメカ系キャラクターとの相性は抜群。玩具界を席巻した。
小材さんは1969年生まれ。もともと超合金に限らずプラモデルやブリキなどのおもちゃ全般が好きで、30年ほど前から収集を始めたという。
「当時はまだ、商店街なんかに昔ながらの小さいおもちゃ屋さんがあって、レトロなおもちゃも新品の状態で結構売れ残っていました。僕が買うと、在庫を抱えて困っていた高齢の店主が涙を流して喜んでくれたこともあったんですよ。集め出すと止まらなくなり、旅先でそんなおもちゃ屋さんを巡ったりしているうちに、どんどんコレクションが増えていきました」
転機はバンダイから「超合金魂」シリーズが発売された1997年頃に訪れた。すでにコレクターとして知られるようになっていた小材さんは、超合金を特集したテレビ番組に呼ばれる機会も増え、「超合金の再ブレイク」を予感。そこから超合金一筋になったという。
実は超合金、ヨーロッパや香港、台湾など海外でも人気が高く、中古市場では価格が高騰しているという。小材さんによると、発売当時の定価に対して概ね20〜50倍。そして小材さんのコレクションがすごいのは、どれも箱付きで保管していることだ。「コレクションを全部売ったら幾らになるか? さあ、考えたこともありません(笑)」
近年は「昭和レトロ」ブームに加え、映画「劇場版マジンガーZ/INFINITY」(2017年)や「シン・ウルトラマン」(2022年)、「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」(同)などがヒットした影響で、古いアニメや特撮がメディアで取り上げられる機会も多い。小材さんの目論見通り(?)、超合金への注目度もますます高まっているという。
「当時の子供たちにとって、1000円とか2000円する超合金は、高価で特別なおもちゃでした。先が尖っていたり、重量感のある鈍器みたいだったりして、今の感覚で見ると子供向けとしてはかなり危ないんですけど、そこがまたいい(笑)。古い金型も残っていないし、いろんな意味で今ではもう絶対に作れないおもちゃ。一時代を築いた超合金の魅力を、これからも1人でも多くの人に伝えていきたいですね」
なお、「超合金鑑定室」は一般には開放されていない。超合金に関する情報や小材さんの近況などについては、小材さんのホームページで確認できる。
■小材直由さんのサイト https://chogokin.jp/